Zoomは通知先のURLをクリックするだけで参加できる利便性があだとなり、不審者が会議中にアクセスする「Zoom爆弾」と呼ばれる妨害行為が相次いだ。だが、一度に25人を画面に表示できる点や教育機関への無償提供をいち早く実施したことなどが利用者増につながり、ビデオ会議サービスの標準になりつつある。
オンラインの利用に関する興味深い調査がある。三井住友カードによると、20年1~3月期の高年齢層(60、70代)のEC(電子商取引)モール・通販利用件数の増加幅が、20、30代よりも大きくなったという。高齢者はネットやスマホの利用率が低いとされてきたが、新型コロナは高齢者が感染すると重症化リスクが高いとされており、自らの身を守るためオンライン利用が増えたようだ。ITの利活用で、米国はもとより中国に比べても遅れているといわれている日本だが、皮肉にも新型コロナの感染拡大がIT化進展の契機になるかもしれない。
【プロフィル】森山博之
もりやま・ひろゆき 旭リサーチセンター、遼寧中旭智業研究員。早大卒後、旭化成工業(現旭化成)入社。広報室、北京事務所長などを経て2014年から現職。大阪府出身。