テクノロジー

ローカル5Gの注目度急上昇 非接触で工場を運営、学校でも期待大 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、工場や商業施設などの限定エリアで第5世代(5G)移動通信システムを利用できる新技術「ローカル5G」への関心が高まっている。5G環境を迅速に整備でき、超高速、大容量通信で機械の遠隔操作や社員の連携など、「非接触」での事業継続が可能になるためだ。ローカル5Gの利用は欧州を中心に海外が先行しているが、政府も巻き返しに本腰を入れつつあり、今後の普及に期待が高まっている。(黒川信雄)

 コロナ禍でのニーズつかむ

 「山口県との連携協定を発表して以降、連日のように問い合わせが来ている」

 NTT西日本でローカル5G事業に携わる貝野宏至担当部長はこう手応えを語る。現在、60あまりの案件が動いているという。

 NTT西は4月、ローカル5Gの活用を通じ、労働人口の減少や自然災害対策などの問題解決を目指す連携協定を山口県と結んだ。目玉は、ロケット部品製造などを手がける「ひびき精機」(同県下関市)との「スマートファクトリー」実現に向けた協業だ。

 スマートファクトリーとは、高度な通信技術を活用し、生産効率を高めた次世代工場のこと。NTT西は、ひびき精機が6月末に開設した新工場にローカル5Gの通信環境を整備。4Kカメラと人工知能(AI)を活用した高度な遠隔監視や、現場の作業員が装着する「スマートグラス」から得られる情報をもとに遠隔で作業を指示するなどの実験を進める。

 この取り組みは、新型コロナの感染拡大で従業員同士の接触を避けながら工場の操業や事業の継続を図りたい企業のニーズにマッチするため、NTT西には連日、企業などからの問い合わせが相次いでいる。

 また、6月に大阪市内でローカル5Gの実証施設を開設した関西電力子会社のオプテージも、「施設見学やセミナー開催、ローカル5Gの接続実験などについて、製造業だけでなく交通や観光、不動産関連の企業など約40社から問い合わせが来ている」(広報)状況という。

 機器、電波…環境整備進む

 ローカル5Gは、広範囲に膨大な数の基地局設置が必要な大手携帯電話会社が展開する5Gとは異なり、5G環境をつくりたい施設までは既存の光回線を使用したうえで、施設内などに設置した基地局から限定的に5Gの電波を飛ばす技術だ。環境整備が容易とされ、「工場が多い地方などでの活用が特に期待されている」(行政関係者)という。

 しかし、総務省が昨年末に施設ごとに取得できる免許の交付を開始したものの、商用での活用はまだほとんど行われていない。「ローカル5Gで使用する基地局に必要な機器の開発が追い付いていなかった」(NTT西の貝野氏)ことが大きな理由だ。また、国内でローカル5G用に割り当てられている電波の帯域は直進性が高く、建物の裏などに回り込みにくいため、「使いにくい」(通信事業者)といった側面もあった。

 しかし、機器開発は徐々に進んでおり、別の帯域の電波の割り当ても計画されるなど、普及に向けた環境は整いつつある。7月3日に大阪市内でローカル5G推進のためのフォーラムを開いた総務省近畿総合通信局の佐々木祐二局長は「ローカル5Gは企業の間でもまだ十分に認識されていない。情報発信をさらに強化していく」と強調した。

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