18年からは耕作放棄地を借りての放牧を始め、現在は8・1ヘクタールの放牧場などで繁殖和牛36頭、子牛19頭を飼う。これだけの作業を妻、恵子さん(65)と2人だけで担う。
昨年10月の台風19号では目の前の那珂川の堤防が崩れ、放牧場に濁流が押し寄せて23頭が流された。茨城県までバイクで探し回り17頭救助したものの、残りは行方知れず。施設も全壊したが、不屈の精神で復旧、5月に放牧を再開した。
視察で訪れた、中山間地にある元棚田の放牧場。土の道の両側ではセイタカアワダチソウが背丈を競い、車のバックミラーに黄色い花がからみつく。
白い軽トラックを操る瀬尾さんに、ここに牛を放したら、食べてくれるか尋ねると、明るい声で答えた。
「もちろん、食べちゃう。それに、セイタカアワダチソウは意外と栄養価があるんだよ」