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発電所の経費を小売りも負担 電力の安定供給への新制度「容量市場」 (2/2ページ)

 これに対して電気事業連合会の担当者は「1兆6千億円はお客さまの追加負担ではない」と説明する。

 小売り側には小売り事業と発電事業の両方を手掛ける大手電力も含まれ、1兆6千億円のうち8割ほどを負担する。ただ、大手電力はこれまでも発電所の維持管理にかかる費用を小売り事業の収益から負担してきた。電事連の担当者は「今回の制度では大手電力内での負担の流れが、市場を通して『見える化』されたものだ」と話す。梶山氏が国民の追加負担を否定したのと同じ趣旨だ。

 一方、残り2割の新電力の小売事業者の一部は容量市場の枠組みに組み込まれることで、新たな負担を迫られることになる。経営努力で賄えない場合は、コスト分を電気料金に上乗せする可能性も否めないというのが実情だ。

 将来の電力の安定供給に欠かせない容量市場だが、軌道に乗るまでには曲折がありそうだ。

海外価格、日本より安く

 海外では米国最大の電力市場であるPJMが2007年に創設され、14年からは送電事業を行う英・ナショナルグリッドが容量市場を設けている。ただし両者ともに発電事業者が受け取る価格は日本よりも安い。

 英国の場合、石炭火力だけでなく、ガスや洋上風力など多くのエネルギー源による発電所がつくられてきた。この結果、発電能力は余り気味で、容量市場の仕組みで発電事業者が受け取ることができる資金は1キロワットあたり2千円前後だ。

 一方、日本では原子力発電所の再稼働が進まない中、発電所事業者の発電能力の余裕は少なく、容量市場で決まる価格も比較的高い。ただしエネルギー市場に詳しいディー・エヌ・エーの松尾豪シニアマネジャーは「再エネ普及や原発再稼働などでエネルギー源が増えたときに、英米のような市場動向となる可能性がある」と指摘する。(那須慎一)

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