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マンション販売、コロナ下でも好調 在宅増加で居住環境見直し (1/2ページ)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済が低迷する中、住宅マンションの売れ行きが好調だ。東京都心部のターミナル駅から電車で40分程度の距離にある郊外の物件に人気が集まる一方、都心の高額物件が即日完売するなど、ニーズも多様化している。ただし、テレワークにも活用できる共用施設があるといった、マンションならではの要素が評価されている点は共通で、コロナ禍を受けてより在宅勤務がしやすい物件を探す動きも出てきている。

 遠方からの通勤回避

 東京メトロ有楽町線東池袋駅に直結する地上36階、地下2階建てのタワーマンション-。9月中旬、総戸数248戸のうち115戸の申し込みが始まった。不動産業界では募集期間中に全戸が売れることを“即日完売”というが、この物件も約1週間の募集期間中に全115戸が売れる即日完売となった。物件を手掛けた野村不動産によると、販売平均価格は約1億1000万円。資料請求は約5500件に上り、モデルルームの来場件数は約1700件に及んだという。

 都心のマンションは資産価値が下がりにくく、高い売却価格も期待できることから人気が根強い。同社の担当者は、購入者の特徴について、「富裕層だけでなく、資産形成を重視する30代の共働き夫妻もみられた」と説明する。

 人気が高まっているのは都心の高額物件だけにとどまらない。住友不動産の担当者は、「都心、郊外ともに成約件数が伸びている」と話す。埼玉、千葉、神奈川3県など首都圏の住宅マンション市場では、都心のターミナル駅との間を電車で30~40分ほどで行き来できる圏内にある物件の人気が高い。通勤時間も比較的短く時差出勤もしやすいので、遠方からの通勤に比べて感染リスクも少なくて済むとの期待があるようだ。3000万~4000万円台の価格帯のマンション販売が好調だという。

 共用施設で仕事・勉強

 住宅購入で戸建てではなくマンションに高い人気が集まるのは、住民やその関係者向けの共用施設の効果が大きいという。特に、居室以外に、勉強や仕事に使える共用スペースを設けた、大規模なマンションへの注目が高まっている。

 不動産関係者は共用施設の強みとして「テレワークにも対応しやすい」点を挙げる。通常、共用施設の維持・管理にかかる費用はマンションの管理組合で負担する。戸数の少ない物件よりも多い物件の方が負担する割合が軽くなるため、大規模なマンションの方が共用施設を充実させやすいという。

 共働きで子供のいる世帯では、夫妻双方の勤務先がテレワークを導入し、自宅を手狭に感じ始めた家庭も少なくない。そのため、より広い物件を求めて引っ越しを考える人たちが増加傾向にあるという。不動産関係者の一人は「コロナ禍で自宅で過ごす時間が長くなったことで、居住環境を見直し、購入を真剣に検討する人が増えた」と分析する。

 もっとも、コロナによる業績悪化で社員の賞与の減額や不支給を決めた企業も少なくない。こうした状況でも住宅マンション市場が活況なのは、住宅ローン金利が低く、借り入れしやすい金融環境が続いていることが一因だ。また、ローン残高の1%分を所得税から差し引ける住宅ローン減税などの支援策も購入を後押ししている。

 不動産関係者は「金融環境がいいことで、お客さまの住宅取得の意欲は強いと感じている」と話す。

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