いよいよ間近に迫ったクリスマス。男の子へのプレゼントで人気が高いのが、青いレールをつなぎ電車を走らせる鉄道玩具「プラレール」だ。製造・販売するタカラトミーによると、新型コロナウイルス流行による“巣ごもり需要”の拡大で、例年以上に好調という。自社のインターネット通販は4割増えた。自宅で遊ぶ機会が増えてたくさん触れているはずなのに飽きもせず電車を走らせる子供たち。ここまで魅了し続けるのはなぜか。プラレール人気の秘密を探ってみた。
60年以上の歴史
直線や曲線の青いレールを自由につなぎ、自分好みのコースを作る。駅や踏切、トンネルも置き、新幹線や電車を走らせて楽しむプラレールは60年以上の歴史がある。タカラトミーの中でも一番古いブランドで、親子3代で楽しめるおもちゃだ。
1959年に手転がし式「プラスチック汽車レールセット」を発売。61年から現在の3両編成を電池1本で走行する基本構成となった。累計約1570種類、1億7500万個以上の関連商品が販売されている。発売されたレールの長さは実に地球3周分以上に及ぶ。今では韓国や中国などアジア11の国と地域でも発売されている。
今年はコロナ禍で「自宅に豪華なコースを作るためにレールや情景部品の買い増しが多い」(プラレールマーケティング課の奥田さつき氏)。11月のオンラインショップ「タカラトミーモール」のプラレール販売は前年同月比40%増を記録した。
クリスマス向けの目玉商品でもある7月に運行を開始した東海道新幹線のフルモデルチェンジ車両「N700S」の立体レイアウトセットの販売も想定以上の伸びを見せているという。楽しい遊び方を伝える同社のユーチューブ配信も好評で、再生回数が100万回を超える動画もあり、新たな販促ツールとして売り上げに貢献している。
そんな子供に人気の高いプラレールを生み出しているのが同社のトミカ・プラレール・アニア開発課だ。同課は世の中で話題になりそうな車両や鉄道会社の未来の技術を研究している。商品化に向けて、子供たちがどうやって遊ぶのか仕様などを検討し、練りに練った企画書が社内会議で通れば、開発に乗り出している。
約20年にわたり、開発に携わるエキスパートの手塚友浩氏は「実際の車両を取材して、図面に落とす作業から始めている」と明かす。鉄道会社に協力依頼し車両基地で写真を撮影、車体の特長をつかむ作業から始めている。
ポイントは本物を忠実に再現しない点だ。子供目線で本物に見えるように車体の特長を強調したり、設計基準に合わせるためにデフォルメしたりしている。例えば、昨年発売したJR東日本の次世代新幹線試験車両「アルファエックス」は先頭車両の先端部の鼻が22メートルあり、初期車両の4倍もある。プラレールでは本物ほどの長さはないが、他の新幹線よりは長くしている。
車両の色も本物に近づけてしまうと暗くなるケースもあり、手塚氏は「子供向けなので少し明るくすることもある」と説明する。子供が遊ぶため、安全性にも注意を払い、なるべく車両には付属品を付けず、手に取りやすいようにしている。