≪interview 担当者に聞く≫ハウス食品 事業戦略本部 食品事業一部チームマネージャー・山本篤志氏
タンドリーチキンの残りソースから生まれた料理
--新商品をリリースした背景は
バターチキンカレーは、インドの定番料理であるタンドリーチキンから生まれたとされている。この料理は、鶏肉をヨーグルトや香辛料のソースに漬け込み、香ばしく焼いたものだが、インド・ニューデリーの「モティ・マハル」という料理店では、漬け込んだ後の余ったソースにバターやトマトを加え顧客に提供した。マイルドな甘さとコクが特徴で、近年、日本のレストランでも女性を中心に人気を集めている。われわれの調査では、バターチキンカレーの認知度は、女性では5割を超えている。また20代の女性の45%が食べてみたいと回答している。国内でバターチキンカレーを提供するレストランの数も直近5年で5.2倍に増えた。
--コロナ禍で家庭での食事が見直されている
ある調査によると3人に1人が新しい料理メニューへの挑戦を行っているとのことだ。外食で出されるような本格的な味を家庭でも味わいたいという要望も多い。本格的な味ということは、調理の手間を意味する。家庭で食べてもらう以上、可能な限り手間をなくし、大人から子供までみんなでおいしく食べられるものが求められていると思う。「こくまろバターチキンカレー」〈甘口〉の企画開発にあたっても、その点に注力した。
--簡便性にもこだわった
バターやトマト缶などを使わなくとも、コクやまろやかさに加えて、トマトの甘み、うま味を引き出す製法を新たに採用した。さらに本格的なものを作るには、10種類以上のスパイスやナッツなども入れる必要があるが、本品を使えば、鶏肉、玉ねぎ、牛乳だけでバターチキンカレーの味が再現できるようにした。また、使う調理器具もフライパン一つでできる設計にしてあり、煮込み時間も10分と短時間でメインメニューを作れるようにした。
--マーケットの反応などは
これまでの新商品に比べて、初速はものすごくよい。本品は、あめ色の玉ねぎのコクと生クリームのまろやかさが特徴で、市場の認知度も高い「こくまろカレー」ブランドを活用した商品だ。カレーの新しい領域を広げる商品として認知度を高めていきたい。
■フジテレビ商品研究所
「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」内に設けられた研究機関。「生活科学」「美容・健康・料理」「IPM(総合的有害生物管理)」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究している。
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