また、尾崎氏を含め3人と、近年最多の会頭を輩出している大ガス特有の事情も、臆測を呼ぶきっかけになっている。大ガス出身で2人目の会頭となった野村氏は、同社出身の大西正文氏(故人)の在任期間(約6年4カ月)を超えないタイミングで会頭を退任。当時を知る財界関係者は「後世に、会社の先人の任期を超えたと指摘されたくないとの思いがあったようだ。財界ではいかに美しく引き継ぐかが重要」と解説する。この慣習にも配慮した場合、尾崎氏の「持ち時間」はあと1年ということになる。来年に行われる大商の通常総会がポイントと推測する声もある。
関経連の動向は
大商と並び関西財界を支える関西経済連合会の動向も、無視できない要素になってきた。来年5月に改選期を迎える関経連では、就任から4年となる松本正義会長(76)=住友電気工業会長=が続投するとの見方が強い。尾崎氏とともに万博準備を牽引(けんいん)してきた松本氏が次の任期(2年間)に踏み出そうとするなか「松本氏を残して退任できるだろうか」と別の関係者は疑問を投げかける。
コロナ禍に苦しむ中小企業支援や万博関連事業の推進、さらには大阪府市が掲げる最新のICT(情報通信技術)を駆使し住民サービスを向上させる「スーパーシティ構想」の支援と、大商には足元で重要課題が山積している。
かねて「70歳になったら一線から退く」と周囲に漏らしていたという尾崎氏は来年3月、71歳を迎える。長年の慣習、目の前の課題…。尾崎氏はさまざまな難題に取り組む。