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「あのケーキがなければ…」閉店危機の店を救った“芸能人御用達”スイーツ (1/4ページ)

 「あれがなかったら、店はつぶれています」。外出自粛が続くコロナ禍で客足が遠のき、閉店の危機にあった金沢市のスペイン料理店が、メニューになかったチーズケーキを販売したところ、SNSで「言葉を失うほど旨(うま)い」と評判の大人気商品になった。東京の創作フランス料理店のオーナーシェフは、お取り寄せセットの販売をSNSで告知して即日完売に。いずれも飲食店の窮地を救う突破口を開いたのはSNSだが、ただSNSで商品を紹介しただけではない。そこには、したたかな「SNS戦略」があったのだ。

 世に出ていなかったチーズケーキ

 金沢市のスペイン料理店「レスピラシオン」と聞けば、「あのバスクチーズケーキか」と思い浮かべる人もいるかもしれない。スペインのバルが発祥とされるバスクチーズケーキだが、コロナ禍前は店のメニューにもなかった。

 「正直、チーズケーキは苦肉の策でした。必死だったんです」

 ソムリエ兼マネージャーを務める金村俊宏さん(33)が振り返る。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年4月から一時店を閉めることに。同5月からパエリア弁当などの販売を開始したが、「こつこつとパエリア弁当やサンドウィッチを作っても、従業員の給料を守れない。そこで打開策を考えたのです」。冷蔵庫に残っていた生クリームとチーズを見て思いついたのがバスクチーズケーキだった。レシピは従業員のシェフが持っていたが、「世に出たことはなかった」。

 試しに1ホール2000円で数量を限定して店頭に並べてみた。すると、甘すぎず、口当たりの良いチーズケーキは評判に。「変な違和感がありました」。この違和感に気づけたことが、大きな転機だったのかもしれない。

 金村さんは、これなら売れると確信。ケーキを入れるきれいな箱を用意した。ブランディングを意識し、デザインに凝った専用のサイトやインスタグラムも立ち上げた。

 次に、販路の拡大。インターネット販売だ。1ホールの価格は税込み2600円。チルド発送の料金を一律1000円とし、全国展開を考えたのだ。

 ただ、金沢市の店頭では評判の商品も、全国的な知名度は当然、ない。「金沢の間口では追い付かない。このチーズケーキを日本中にどうやって知っていただくか」。金村さんが注目したのは、SNSの影響力だった。

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