東京の中古・ワンルームマンションを投資家(オーナー)に紹介し賃貸管理を請け負う日本財託。不動産管理を通じてオーナーと一生涯の付き合いを築くため、生命保険や家族信託、相続といった困り事、悩み事にも丁寧に応える。その甲斐あって管理戸数を毎年1000戸ペースで増やしながら入居率は98%以上を維持する。創業者の重吉勉社長は「一人でも多くの経済的自由を実現するため、98%にはこだわる」と話す。選ばれる管理会社になるため「一室入魂」で、愚直にコツコツと信頼を積み上げている。
長期に安定収入
--投資用マンションで東京の中古・ワンルームにこだわる理由は
「不動産投資の目的は値上がり益や節税ではなく、長期にわたって安定した家賃収入を得ることだ。東京は若い世代が大学進学や就職で流入しており、賃貸需要は旺盛だ。新型コロナウイルス禍の2020年も転入超(約3万1000人)を維持。中でも賃貸需要を生み出す15~29歳の若者層は約7万4000人の転入超だ。このため長期にわたり安定した家賃収入を見込める好立地といえる」
「しかも中古は新築に比べマンション価格(投資金額)が手ごろで、相対的に高い利回りが期待できる。ワンルームはファミリーマンションに比べ空室期間が短く、入居者退室後のリフォーム費用も安い。だから特化している」
--コロナによる業績への影響は
「20年9月期のグループ業績は、売り上げが240億7100万円(前期比18.8%減)、経常利益は17億7900万円(22.2%減)と減収減益を余儀なくされた。投資用マンション販売事業がコロナの感染拡大で下半期(20年4~9月)が振るわなかったためだ。一方で賃貸管理事業は管理戸数が伸びたことで増収増益となり、経常利益では管理事業が初めて販売事業を上回った。管理戸数をコツコツと積み上げてきた成果で、管理を他社に任せているところはコロナが直撃、大幅減益だったと思われる。管理を大切にしてきてよかったとつくづく思う」
--コロナで不動産投資動向は変わっているのか
「他社もそうだが、不動産投資への問い合わせは減っていないし、金融機関の融資態度も変わっていない。カネ余りで不動産価格も高止まっており、仕入れ競争が激化。商品の確保に苦労しているほどで需要は衰えていない。20年3月からオンラインセミナーを始めたが、これまで来場できなかった地方の投資家が時間と場所の制約がなくなり、交通費をかけずに参加できると評価し、集客も好調だ。今はリアルとのハイブリッドで開催している」
オーナーから信頼
--21年9月期については
「管理戸数は1000戸純増を達成できると考えている。08年9月期から前期まで毎年、純増数は1000戸を超えており、オーナー数、管理戸数は設立から31年間、一貫して増加している。21年2月末時点で8478人のオーナーから2万3651戸の管理を任されるまでになった。こだわっている入居率は、管理物件全体で99.09%、当社の販売物件で99.47%だ」
--管理にこだわる理由は
「オーナーから信頼を得るためだ。評価を得ているポイントは、年間平均99%という高い入居率と27.4日という短い空室日数だ。多くのオーナーはローンを組んでマンションを購入しており、空室日数が長引くとローンの返済負担が大きくなる。このため一日でも早く空室を埋めて、一日でも早く日割り家賃を届けることがわれわれの使命と考えている。また購入されたマンションの管理を当社で行うが、購入時にリスクやコストを丁寧に説明することも評価されている。何よりもオーナー数や管理戸数という実績が信頼につながっている」