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飲食店も余すことなく食材活用、大阪で生きる「始末の精神」

 飲食店で、食品廃棄の問題や、地球温暖化につながる気候変動への対策に積極的に取り組む例が増えている。ゴミゼロを達成するための技術開発や、廃材の活用は、店の新しい魅力につながる可能性を秘めている。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」への関心が、企業や一般の人々の中で高まっている。SDGsへの取り組みが、飲食店の新常識になる日がくるかもしれない。(北村博子)

 ブドウ使い切ってワインやパンに

 「僕にとってゴミを減らすことは経費を減らすこと。最初からSDGsを意識したわけではありません」

 こう話すのは、大阪市内の繁華街にレストランを併設したワイナリー「島之内フジマル醸造所」(大阪市中央区)を経営するパピーユ社長の藤丸智史さんだ。

 「ワインを日常に」との思いで、わずかな資本金で始めた醸造所。どうしたら低予算で質の高いワインを作り、安く提供できるか、必死に考えを巡らせてきた。ボトルやラベル代を節約するため、大阪府八尾市の鉄工所で使い回しができるステンレス製樽を特注してコストカット。ビールと同等の価格までワインの値を下げることもできた。

 さらに、ゴミも捨てるだけではもったいない。収益につなげようと、大阪府柏原市にある自社農園では、醸造に使ったブドウの搾りかすを肥料に活用するだけでなく、搾りかすをパスタに練りこんだり、パンの発酵に使ったりするなど、商品化にも挑んでいる。

 ほかにも、食品会社と連携して粉砕した搾りかすからワイン塩を試作。また、ビールの原料にならないかについても研究中だ。

 「もし搾りかすを加工品や何かの原料として生かすことができるようになれば、経費を安く抑えられるうえにゴミを無くすことができる。これは僕らのワイナリーだけの話ではない。知識や経験をほかの企業とも共有できればいい」

 ゴミを収益に変える発想が、SDGs達成への取り組みにつながっている。

 間伐材をおいしく利用

 大阪府吹田市の万博記念公園内に、公園内で出た間伐材を薪にしてピザを焼くカフェ「ノースガーデン」がある。 

 「公園内は木々の小まめな手入れが欠かせず、大量の間伐材が出る。なんとかならないものか…」

 令和元年秋、公園内に出店する際、関係者のこういった声を聞いて、間伐材をピザ窯の薪に使うことを決めた。

 「話を聞いて、ぜひ一役買えたらと思いました」とは、同店料理長の田村直樹さん。園内は広葉樹のクヌギやナラが多く、薪に適していた。間伐材は毎月安価で購入できることから、店の経営にも好都合だ。また、店舗外観のディスプレーにも利用した。

 

 開店してから、植物に関心を持つようになったという田村さん。「梅林の梅の実をスイーツやソースに使ったり、隣接のバラ園にちなんでローズティーをメニューに加えたりできれば」と、少しずつ“万博産食材”にも目を向け始めている。

 このほか、中之島に平成28年に開業したホテル・コンラッド大阪(大阪市北区)のレストラン「シーグリル」でもSDGsの取り組みが注目されている。地産地消にこだわり、さらに野菜の皮や葉、魚の頭や骨など通常は廃棄される部分まで徹底的に生かし切り、約90%の使用率を実現したコースを取りそろえる。

 あまから手帖も特集

 近畿圏のグルメ情報を扱う雑誌「あまから手帖」は今年の1月号で「食べる、SDGs」をテーマに、約80ページにわたって特集を組んだ。SDGs達成に取り組む店舗の紹介のほか、食材を使い切ることができるレシピや、食品廃棄防止につながる加工食品などの実例を取り上げた。

 同紙を手掛けるクリエテ関西の担当デスク・白川恵理子さんは、企画の意図について「コロナ禍で世の中が混乱する今、社会を強くするための目標、SDGsの考えを身近な食の世界から発信したかった」と話す。

 そもそも大阪には食材を無駄なく使い切る「始末の精神」が食文化として根付いている。「老舗割烹などは、昔からやってきたことがSDGsにつながっていることも多い」と白川さん。「お客さんの支持を得るためにもこれからはますます必要になる取り組みではないか」と指摘する。

 飲食業界から始まるSDGsに目が離せない。

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