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一般消費者に開かれた豊洲市場 「目利き」された高級食材がネットで人気急増 (2/2ページ)

消費者のニーズにつなげるアイデア

 「築地市場ドットコム」で今年2月に始めたユニークなサービス「豊洲きょう着く便」も消費者の注目を集めている。早朝競りにかけられた鮮魚を当日中に届けるサービスで、徐々に対象エリアを拡大し、5月現在は東京23区全体を網羅している。飲食店向けの配達需要がコロナによって半減したところを家庭向けに切り替えた。

 自社便に切り替え、家庭の夕食時間を見据えた調理時間に合わせるように配達時間を工夫したことで需要も増加。1日あたり平均30~40件の注文が寄せられ、ゴールデンウィーク中には100件に達した日もあるという。萩原社長によると、同サービスの利用者からの満足度は非常に高く、今後はニーズに答えて刺盛りや場外市場の惣菜などラインナップも強化していく考えだという。 

 「自社のホームページに『通販をやります』と掲載したところで1日1件の注文があるかないか。ネット通販事業者は僕らができない『BtoC』の最終消費者のハートを分かっていて商売の緩衝材になってくれている」

 山崎社長はこう話す。ネット通販事業に参入する仲卸は徐々に増加しつつあり、豊洲市場ドットコムだけでも現在8店舗が出店。目利き力を強みに売り上げを伸ばしている。

 仲卸としての葛藤も

 ただ、一方で仲卸としての葛藤もあるという。「仲卸の信頼を背負ってネット通販の世界に出ることの難しさがある」(山崎社長)というのだ。

 「変なものを売らないという仲卸としての意地は人一倍あるし、それに対する消費者からの期待も感じる。話ができる『BtoB』の商売と違って、一度良くない商品を扱ってしまったら次はない。仲卸にとって通販はそれくらい気を遣う商売。同じエネルギーを使うなら、本来の商売相手である飲食店の板前さんやスーパーのバイヤーさんに注力したい」

 山崎社長は本音を漏らしつつ、生き残りをかけて、こう続けた。

 「ただ、このコロナで店をつぶすわけにはいかないし、商売できる場があれば何でもやろうと思っている」

 豊洲への移転、そしてコロナ禍。出口の見えない戦いは続く。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
SankeiBiz編集部員が取材・執筆したコンテンツを提供。通勤途中や自宅で、少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。そんなコンテンツを目指している。

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