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音声通話、光回線にメス 総務省さらなる料金値下げへ

 総務省は31日、携帯電話市場や、光回線などインターネットの固定通信市場の競争活性化を議論する有識者会議を開き、料金が高止まっている音声通話の値下げを目指す方向性を示した。総務省は光回線などによる固定通信についても、価格の硬直化の一因となっている、2年契約の代わりに料金を割り引く“2年縛り”を見直す方針。携帯電話のデータ料金の値下げに続き、通信にかかる費用全体の低廉化につなげる。

 この日の有識者会議では音声通話の料金が過去10年で微減にとどまり、競争が十分に機能していないとして、音声通話が少ない利用者への割引策などの導入の検討が提案された。総務省は別の有識者会議で、固定通信についても2年ごとに設けられた更新期間外での契約変更にかかる違約金をなくすよう求めている。

 通信市場をめぐっては、携帯電話の通信データにかかる料金が政府主導の取り組みで下がった。しかし30秒ごとに20円かかる音声通話料は変わらないまま。新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅勤務増加などで需要が増している固定通信も、この10年間、価格がほぼ変わっていない。

 大手通信各社は音声通話の料金を維持するとともに、格安スマートフォンを運営する仮想移動体通信事業者(MVNO)に音声用回線を貸し出す際の卸価格も下げていない。大手との競争相手として期待されるMVNOも音声通話の価格を下げにくいのが現実だ。また、固定通信の2年縛りは携帯電話とセットで契約している人にとっては、携帯電話の乗り換えを妨げる要因にもなっている。

 総務省は事業者間の競争を促す施策で価格の引き下げを目指す。ただ、音声通話料金などによる安定収入は設備投資などの費用を賄っている面もあり、丁寧な議論が求められる。5G開始1年、近未来へ手探り 都市部エリア限定・コロナ逆風で普及に苦戦

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