東京五輪も「だからやめる」ではなく
--現在、五輪開催をめぐる議論の渦中にいらっしゃる白戸さんですが、競技者ではなく都議として、この“突きつけられた課題”とどう向き合いますか
白戸議員:
非常に厳しい状況ではありますが、大会だけで言えば、開催は可能と考えています。新型コロナウイルス対策のため、選手・コーチらを外部との接触から遮断する「バブル」方式での開催については、世界中の競技会で普通に行われています。
日本の選手も世界各国で開催されている大会に参加しており、スポーツの現場に携わる者としては実現可能であることは分かっています。ただ、最も大きな問題は医療の確保と考えます。
1984年のロサンゼルス五輪以降、巨額なコストをかけて華美なオリンピックが開催されるようになり、われわれはそういうものが五輪だと印象づけられてきましたが、ほんの30年前までは華美なものではありませんでした。
では次の30年はどうなるか。これは誰にも分からない。もしかすると、今回が五輪に対する既成概念を変える時なのかもしれません。五輪をこれほどまでに盛大に、華美にし続ける必要があるのかということも含め、視点を変えた議論を求められているように思います。
世の中が全て変わってしまった現状で開催を目指すなら、状況に合わせて対応するフレキシブルな五輪でなければなりません。今後の五輪のためにも「開催する・しない」という単純な議論だけではなく、根本として五輪はどうあるべきなのか。開催するとしたらどうすべきなのかも議論する必要があると思っています。
トライアスロンと同じで、突き付けられた課題を前に「だからやめる」のではなく、「どうやってフィニッシュするか」という考え方ができるかどうか。その議論を放棄してしまったら、五輪だけでなく、困難に対峙(たいじ)する社会の進化が止まってしまうのではないかとも思います。
【ビジネスマンはアスリート】は仕事と趣味のスポーツでハイパフォーマンスを発揮している“デキるビジネスパーソン”の素顔にフォーカス。仕事と両立しながらのトレーニング時間の作り方や生活スタイルのこだわりなど、人物像に迫ります。アーカイブはこちら