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感染拡大防止と経済活動の両立、「山梨モデル」で今年初の生ジョッキで実感 (1/2ページ)

 エビデンス(科学的根拠)を重視した積極的な対策で、新型コロナ感染拡大防止と経済活動の両立を図る施策として大きな注目を浴びた山梨県独自の「山梨グリーン・ゾーン認証制度」。しかし、今月に入って新規感染者が47人と県で過去最多を記録するなど、感染がにわかに拡大している。今月、甲府駐在となった記者が、山梨モデルを体験しつつ、感染対策のあり方について、改めて考えてみた。

 広がる「かつての日常」

 「お待ちどうさま」

 甲府市内のラーメン店のカウンターで、注文した中生ジョッキを店員が運んできた。口をつけると「うまい」。ごくごくと半分以上を一気に飲んでしまった。

 緊急事態宣言下の東京では、酒類を提供する飲食店への休業要請が出されている。思い起こすとジョッキの生ビールは昨年末に会食したとき以来。今年初の「ジョッキ生」を堪能したことになる。

 入店したのは午後9時過ぎ。営業時間短縮要請で、東京なら大半の店が閉まっている時間に外食ができるのは不思議な感覚だ。こうした「かつての日常」に近い経験を可能にしているのが「山梨モデル」だ。

 厳しい基準で安心確保

 山梨県県民生活部グリーン・ゾーン推進課の鈴木孝二課長が「山梨全体での安心と信頼の提供」と狙いを強調する。当初の対象は宿泊業、飲食業で、その後、ワイナリーや酒蔵も追加された。

 県が設定した基準をクリアしていれば認証が得られ、時短や酒類提供自粛をせずに、営業を継続できる。店舗の入り口などに貼られた緑色のステッカーが認証の目印だ。

 求められる感染対策の基準は30~50項目と非常に厳しい。飲食店の場合、全席に目を覆う高さ以上のアクリル板などのパーテーション設置か、1メートル以上のテーブル間隔の確保や換気の頻度などが、事細かに決められている。

 認証取得後も、利用者から「店員がマスクから鼻を出していた」「大声で騒ぐ客を注意しない」といった評価が県に報告される仕組みのため、店側の緊張感は継続するという。

 進化する認証制度

 4月には変異株によるクラスター(感染者集団)が認証店で発生し、県は追加措置をとった。

 4人掛け以上のテーブルでは、座った人の頭が隠れる高さの十文字型のアクリル板で、正面だけでなく、隣席とも隔てるように厳しくした。また、変異株は従来のウイルスよりも感染力が高いとされることから、これまでは120分だった客の滞在時間を90分に短縮するなど、施策の変更を続ける。

 「国際標準に」

 経済との両立でも成果を出している。総務省の家計調査によると、令和2年の1世帯(2人以上)あたりの月平均の外食支出は、前年比で全国平均、東京都区部が約25%減なのに対し、甲府市では20%減と、5ポイント程度の差をつけた。

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