《東芝の定時株主総会で、会場の株主からは、昨年7月の定時株主総会の運営が不正だったとする調査報告書のほか、経営方針についての質問も出た》
男性株主「脱炭素に向け今後どんな方針か。また報告書に関し、取締役の2人が再任されない経緯は」
綱川氏「(脱炭素に関しては)経済成長の大きなチャンスと考えている。東芝も技術力を生かしてチャンスをつかんでいきたい」
綱川氏「取締役候補に2人が外れた理由としては、報告書の指摘を踏まえ再任は株主の理解を得るのは難しい状況ということで、取締役会で決議した」
女性株主「不正会計の問題を受けて風通しを良くするといっていたが、再び問題が起きた」
綱川氏「不正会計問題は事業部も含めたカルチャーだったと思うが、今回の問題は現場の知るところではないものだった。商品やお客さまを大事にし、コンプライアンスを守る風土は変わっていないと信じている。ただ株主の権利を守ることも含めて会社の風土を改善するよう努める」
《総会開始から2時間以上が経過した。株主が進行について意見する》
男性株主「今回の問題をよい会社にするきっかけにしてほしい。もう質疑応答から1時間経つ。打ち切りの動議を提案したい」
綱川氏「どうしますか…。ではあと2問とします」
《会場からヤジが飛ぶ。綱川氏が「お静かに」と呼びかけ、次の質疑に移った》
男性株主「法令順守の文化を築くという言葉を重く受け止める。会社と従業員との関係も改善すべきだ。人員削減、過重労働が深刻。パワハラも上がっている」
綱川氏「人材が運営上の要。モチベーションの高い組織にしていきたい」
《別の株主の発言で再び進行の話題に戻る》
男性株主「答えづらいことも回答いただけた。ただ参加者の意見を聞かずにあと2人とするのはいかがか」
綱川氏「手を挙げている人が少なくなったので…。(質疑を)もっと続けるべきだという意見には私は反対だ。賛同していただける方は挙手を。事務局、集計してください」
《綱川氏が疲れをにじませ、質疑の終了を諮った》
綱川氏「反対多数が認められました。審議を尽くしたと考えるので採決に入ります。取締役11人の選任を一括して採決します。議案に賛成の方は挙手を」
《11人の取締役候補者のうち、9人が過半数の賛成を得て可決される一方、指名委員会委員長も務める永山氏ら2人が否決された》
《永山氏はこれまでに、混乱した現状を「正常化させることが責任」として退任しない意向を示していた》
綱川氏「これを持ちまして本総会は閉会する。ありがとうございました」
《拍手が起こると、綱川氏らは深々と礼。総会は午後0時40分ごろ閉会した》