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楽天のワクチン接種、ヴィッセル神戸にもたらした波及効果 (1/2ページ)

 【北川信行の蹴球ノート】多くのJリーグのクラブが長引く新型コロナウイルス禍で財政的なダメージを被り、新規のファン獲得に苦しむ中、紹介したいエピソードがある。ヴィッセル神戸の担当者が今年6月、ホームタウンである神戸市内に掲出していた試合告知のポスターを張り替えていたときのこと。地元の高齢者から「いらないのなら、そのポスターを譲ってほしい」とねだられたのだという。

 コアなサポーターとは明らかに異なる年齢層。サッカーが好きというわけでもなさそうだ。担当者はこれまで同じ場所で何度もポスターを張り替えているが、そんな申し出を受けたのは、初めてのことだった。なぜ、その高齢者はヴィッセル神戸のポスターをほしがったのか。理由は意外なところにあった。

 三木谷氏が強力に推進

 高齢者はしばらく前に、ヴィッセル神戸の本拠地であるノエビアスタジアム神戸(神戸市兵庫区)に設けられた大規模接種会場で、新型コロナウイルスのワクチンを接種したのだという。会場には、元スペイン代表の世界的スター選手、アンドレス・イニエスタをはじめ、ヴィッセル神戸に所属する選手の案内板などがいたるところに設置されている。接種後に経過観察をするのは、選手が試合で使用するロッカー室。そんなところから、今まであまり関心のなかったヴィッセル神戸に興味を持つようになったようだ。

 ノエビアスタジアム神戸を大規模接種会場に使うアイデアは、ヴィッセル神戸のオーナーで、楽天グループの会長兼社長である三木谷浩史氏が強力に推進してきた。7月4日には三木谷氏とともに、西村康稔経済再生担当相や日本サッカー協会の田嶋幸三会長、神戸市の久元喜造市長らがスタジアムを視察。「(医師がリモートで)予診をオンラインで行うとか、基礎疾患に応じてファイルの色を分けるとか、会場に来る人の負担をできるだけ減らしながら、効率的に接種が進められている」(久元市長)といい、三木谷氏は「いろんな知恵と工夫に、行政が協力すれば不可能なことはない。(産官学が連携する独自の)神戸モデルを推し進めることで、他の地域や団体が刺激を受け、ワクチン接種が進めばいい」との見解を示した。

 最大で1日7千人まで

 そもそも、Jリーグの試合で使用するスタジアムをワクチンの大規模接種会場とすることについては、Jリーグの村井満チェアマンと三木谷氏、全国知事会会長の飯泉嘉門徳島県知事が5月14日にオンラインの記者会見で発表。Jリーグの各クラブが運営面で自治体に協力することや、啓発活動に取り組むことなども明らかにした。

 この会見を受け、各地で態勢を整え、町田GIONスタジアム(東京都町田市)▽豊田スタジアム(愛知県豊田市)▽パロマ瑞穂スタジアム(名古屋市瑞穂区)▽サンガスタジアムbyKYOCERA(京都府亀岡市)-などで大規模接種がスタート。5月末に開始したノエビアスタジアム神戸の場合は、楽天グループ各社と神戸市のほか、神戸大学や東京慈恵会医科大学外科学講座、兵庫県看護協会などとも幅広く連携を図ることで、接種のオペレーションを担う医師や看護師、薬剤師の数を確保するとともに、接種対象者の拡大を見据えて保育士が常駐するキッズスペースを設けるなど、態勢の充実を図ってきた。

 会場では、医師7人、薬剤師約20人、看護師約50人にヴィッセル神戸を含む楽天グループの関係者約150人が運営に携わり、開設時には1日当たり約千人にとどまっていた接種人数も、現在は約4千人まで規模が拡大。今後、さらに態勢を拡充することで、最大で1日当たり約7千人にまで増やすことができるという。ちなみに、接種時間は午前10時~午後7時となっている。

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