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本命撤退で一択に 和歌山・全国初のIR事業者選定、その舞台裏 (1/2ページ)

 カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を進める和歌山県は今年6月、全国の誘致自治体に先駆けて初めて事業者を選定した。応募してきた2事業者の中から選んだのは「クレアベストグループ」(カナダ)。一方、当初“本命”とみられていた「サンシティグループ」(マカオ)は5月に突然、撤退を表明。県としては、残る1社を選ぶかどうかの決断を迫られた結果だった。事業者選定までの紆余(うよ)曲折の舞台裏とは…。

 「この度、本事案から撤退することを正式決定致しました」

 サンシティが突然の撤退を表明したのは5月12日だった。理由について、コロナ禍の影響と長期化への懸念をはじめ、日本ではIRの区域認定までに「当初の予定よりも大幅に時間を要する」など「多くの事柄が不透明」とし、「事業者としてのリスクを鑑み、熟考の上で厳しい判断をする」とコメントした。

 撤退の連絡は、ほぼ同時に県のIR推進室にも伝えられた。サンシティは当初から本命とみられてきただけに、担当者は「正直に言って驚きだ。事業者の判断なら致し方ないが…」と肩を落とした。

 サンシティは、県がIR誘致を本格化させた平成30年ごろから早くも参入の意思を示してきた。

 令和元年8月には、県主催のIRシンポジウムに参加。2年3月に県が事業者の公募を始めると、9月には和歌山市内に現地事務所を開設した。

 IRが和歌山にできる場合を想定して関連する地元企業への説明会を開催したり、地元バスケットボールチームのスポンサーになったりと、地域への貢献もアピールしてきた。

 そんな本命の事業者の撤退は、関係者に衝撃をもって受け止められた。

 日程変更に抗議

 ただ、振り返れば撤退の予兆もあった。

 元年12月に、IRをめぐる贈収賄事件で現職の国会議員が東京地検特捜部に収賄容疑で逮捕され、2年以降にコロナ禍が拡大した影響もあり、政府は2年10月、誘致自治体が国に提出する整備計画の提出期限を4年4月まで9カ月間延長することを決めた。

 これを受け、すでに2事業者が応募していた和歌山県でも選定スケジュールを見直したところ、サンシティ側から「ものすごいけんまくで抗議があった」と関係者は明かす。

 さらに今年2月には、サンシティがIRを手掛けるオーストラリアで、現地当局が資金洗浄疑惑を指摘する報告書を公表した。

 サンシティ側は関与を否定したものの、県が有識者による審査と並行して実施してきた、事業者の適格性を調べる「予備調査」の長期化を招いたことは否定できない。

 県の担当者も「(サンシティの)撤退表明までに予備審査の結果を出せなかったのは事実」と、影響を認めた。

 切り替えて前向きに

 サンシティが撤退を表明した直後、仁坂吉伸知事は会見で「(事業者の選択肢が減り)痛い」と心境を吐露した。

 そして6月2日、1社だけ残ったクレアベストを事業者に選定した。

 ただ、その際に公表した有識者による提案内容の審査では、クレアベストが1000点満点中656点だったのに対し、サンシティは720点と、サンシティの優位が判明した。13の審査項目別にみても、10項目でサンシティの提案が勝っていた。

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