金融

「中国のビットコイン採掘時代は終焉」 採掘の全面禁止令で業者壊滅も (2/2ページ)

 中国が発行準備を進めるデジタル人民元と、民間が運営するビットコインなどの仮想通貨。中国政府にとっては国民の決済情報を直接把握できるデジタル人民元と比べて、ビットコインなどの仮想通貨は法規制が及びにくく、取引価格の乱高下が金融リスクにもつながりかねない目障りな存在だ。

 電力消費も注視

 ビットコインの採掘が大量の電力を消費している点も中国当局は注視している。英ケンブリッジ大によると、ビットコインの年間電力消費量は5月時点の推計で約130テラワット時に達し、スウェーデンやアルゼンチンの年間電力消費量に匹敵する。中国の習近平国家主席は昨年9月、温室効果ガスの排出量を60年までに実質ゼロにすると宣言し、エネルギー消費の抑制を打ち出している。

 ケンブリッジ大によると、中国がビットコインを生み出す能力は19年9月時点で世界全体の75・5%を占めていたが、21年4月には46・0%まで低下。以前は4%前後だった米国が2位の16・9%と中国を急追しているほか、化石燃料が豊富で電力が安いカザフスタンも8・2%と存在感を増す。中国当局が採掘を禁止した今年5月以降、国外への拠点移転がさらに急ピッチで進むのは必至だ。

 「中国のビットコイン採掘時代は終焉(しゅうえん)した」。財新が引用した業界関係者の言葉だ。もっとも、海外に採掘拠点を移転した中国の業者は、ビットコイン運営において一定の影響力を保ち続けるとみられる。

 中国当局による採掘禁止令がビットコインに与える影響について、山崎教授は「中国以外の業者はライバルが減り、より少ない電力で競争に勝てるようになって新規参入が増える。ビットコインのシステムが不安定化することはないだろう」と予測している。(西見由章)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus