アジアの今

タイの経済回復基調を脅かす政治リスク (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染第3波が半年も続いたタイで、ようやく収束の兆しが見られるようになった。政府は新たな感染症対策費用として1兆バーツ(約3.3兆円)を借り入れる計画で、一気に経済の回復を進めたい考えだ。最大の貿易港、レムチャバン港の取扱貨物量も上昇に転じるなど輸出を中心に環境も整いつつある。こうした中で、勢いをそぎかねない懸案材料として街頭デモなどの政治リスクが急浮上している。

 アジア開発銀行が発表した直近の経済見通しで、タイの2021年実質国内総生産(GDP)の成長率は0.8%。4月発表時の3.0%から大幅に下方修正された。だが、底打ち感も指摘しており、22年のそれは3.9%。4月時の4.5%からは小幅な修正にとどまった。

 首都圏近郊に集積する自動車を中心とした製造業が堅調で、底堅い輸出産業が健在なためだ。深海港であるレムチャバン港へは大型貨物船が入港を再開し、21年度(20年10月~21年9月)のコンテナ取扱量は6月末現在で前年同期比6.9%増の約620万TEU(20フィートコンテナに換算した個数)。今後も増加の見通しだ。

 ところが、こうした経済回復に水を差しているのが、7月ごろからバンコクなどで盛んとなった街頭デモだ。表面的には政府の感染症対策に対する批判が中心だが、背後でテコ入れを図る中にタクシン元首相を支持するタクシン派が目立つようになった。1年前の街頭デモにも関与していたが、もっぱら財政支援だったのに対し、今回は支持者らを動員するなど目に見えた活動を再開させている。シンボルカラーである赤色のシャツ姿が増えている。

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