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よみがえる「昭和の夜行列車」 関東鉄道が旧型気動車使った“寝台急行”運行へ (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
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 夜気で曇った列車の窓を手で拭うと、朝もやの中に田園風景が広がる-。そんな、旅人を非日常へといざなう夜行列車の旅が楽しめそうだ。茨城県南西部を走る関東鉄道常総線で今月23日、約40年前に製造された旧型の気動車を使った“寝台列車”が運行される。列車ダイヤを組む“スジ屋”と呼ばれる職員が発案。座席を寝台代わりに使うため寝返りを打つのも難しいが、「その分、昔懐かしい窮屈な寝台の雰囲気が味わえる」(同社)のだという。

 「きっと懐かしく思える夜行列車です」

 新幹線や航空機を利用すれば、快適に速く目的地に着ける時代。夜行列車は日本の鉄路から次々と姿を消し、定期運行されているのは寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」(東京-高松・出雲市)のみに。高速道路網の発達に伴い、今や夜行と言えば高速バスが主流だ。

 「昔、寝台列車に乗ったときに、室内灯が真っ暗になって、車窓に街の明かりが流れていくのが見えました。その光景が思い出に残っていて、常総線でも夜行列車を走らせたいと思ったのです」

 同社鉄道部運転車両課の課長補佐、高橋忠隆さんの思いが関東鉄道初の夜行列車「急行夜空」号として結実した。「会社は厳しい状況なのでお金をかけて豪華な列車を製造することはできませんが、昭和の夜行列車を知る方には、きっと懐かしく思える寝台列車です」と高橋さんは胸を張る。

 座席のロングシートを寝台代わりに使うため、その幅はわずか45センチしかない。かつて国鉄時代には、「蚕(かいこ)棚」と呼ばれた幅52センチの3段式の寝台があり、夜空号はその寝台の幅に近いという。唯一の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」は個室寝台が主体の夜行列車だが、“庶民派”急行の夜空号は「昔懐かしい昭和の夜行列車の雰囲気」(高橋さん)が味わえるのが特徴だ。

 実際の寝台列車は「A寝台」と「B寝台」に分かれているのに対し、夜空号は「C寝台」「D寝台」の2等級。高橋さんは「通常の寝台より格が下というか、素朴な寝台ということで…」と自嘲気味に語る。寝台の長さ2メートルのC寝台が1万3000円、同1.6メートルのD寝台は1万2000円。夜食のほか、実物車両で使われている座席のモケットの生地で作られた特製枕や携帯LEDライトの特典も付くという。C寝台は1つのロングシートを2区画に分け、乗客が足と足を向かい合わせにするように使用するらしい。長身の人はD寝台だとひざを曲げて寝ないといけないかもしれない。端的に言って、窮屈そうだ。

 関東鉄道の夜行列車に寝台特急のような華やかさはなく、クルーズトレインの対極に位置しているようでもある。ただそれだけに、周遊券片手に夜行列車で一晩明かしたという昭和世代にとっては懐かしい存在。旅情や郷愁をかき立てられる「夜汽車」という言葉のイメージに近い。

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