Bizプレミアム

職種間で“格差”目立つ賃上げペース 専門家が語る「本当に必要な」経済政策 (2/2ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 単なるバラマキでは政策の効率が悪化

 こうした中、論戦が繰り広げられる衆院選では各党がこぞって経済格差を問題視し、対応策を打ち出している。賃上げに積極的な企業への税制支援や、18歳以下への一律10万円給付、年収1000万円程度の個人までを実質免除とする時限的な所得税減税、大幅な消費税減税などメニューはさまざまだ。

 しかし、各党の経済政策については「財源確保を無視したバラマキだ」との批判も根強い。財務省の矢野康治事務次官は話題となった文芸春秋への寄稿で、日本以外の先進国では「経済対策として次の一手を打つ際には、財源をどうするかという議論が必ずなされる」と強調。また経済対策の実施についても、「本当に巨額の経済対策が必要なのか。その経済対策は本当に有効なのか」を吟味する必要があると訴える。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林氏は子供がいる貧困家庭などへの支援の重要性を指摘する一方、昨年実施された「一律10万円給付」のような方法は支援が必要でない人まで給付の対象となり、政策の効率性が落ちると問題視。また通常の減税策にも納税額が多い人ほど恩恵が大きくなりやすいデメリットがあるとする。

 こうした状況を踏まえ、小林氏は給付付き税額控除のように、納税額が少ない人でも一定額の減税が受けられる仕組みや、マイナンバーと銀行口座のひもづけで迅速に支援を届ける体制づくりなどに関する検討を提言。「この10年で厳しい状況にある人たちへの支援が必要だという認識は定着した。選挙後に求められるのは単なるバラマキではなく、適切なバラマキだ」と話している。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
SankeiBiz編集部員が取材・執筆したコンテンツを提供。通勤途中や自宅で、少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。そんなコンテンツを目指している。

【Bizプレミアム】はSankeiBiz編集部が独自に取材・執筆したオリジナルコンテンツです。少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。ビジネスパーソンの公私をサポートできるような内容を目指しています。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus