「映え」意識のデザイン缶
3社の中で最も商品の見た目にこだわるのはコカ・コーラだ。海外でデザインが受けている長いスリムな缶を日本でも踏襲し、「おしゃれに健康を追求できることが大事」とサブストローム氏。SNSなどで自らの生活や価値観を発信することが日常の若者には、手に持った商品のデザインも消費行動を左右する大きな動機になるとみる。
酒文化研究所(東京)の狩野卓也社長は「健康志向だけで若者に受け入れられるのは難しい。飲むこと自体がファッションとしてかっこよく、コミュニケーションのきっかけになることが重要」と指摘する。
一方で、「缶の形の違いなどは、商品棚の高さに合わず同容量の缶と並べて置きづらいといった流通上のリスクがある」(業界関係者)との声もある。サッポロは「従来からある売れ筋商品の横に置いてもらい、目に留まりやすくするために一般的な缶と同じ形にした」としており、どちらの戦略が奏功するかは評価までまだ時間が必要だ。
新ジャンルのアルコール飲料として脚光を集め始めたハードセルツァー。他の国内メーカーの動向はどうか。狩野氏は「シンプルな製法で大掛かりな装置がいらないため、大手よりは中小事業者の追随が増えるのではないか」とみる。
ただ、海外市場では米ビームサントリーが7月、「トゥルーリー ハードセルツァー」を持つボストンビールと業務提携し、米国の量販店で新商品を販売するなど取り組みを強化。サッポロは傘下のカナダのビールメーカーを通じ、人気のハードセルツァー「ソーシャルライト」を手がける同国のアウェアビバレッジズを5月に買収している。
メーカーのもくろみ通り日本でも若者に浸透すれば、大手からもさらなる商品展開がありそうだ。(田村慶子)