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「課金ゲー」と化す子供教育の実態 小学校の塾代280万円…経済力に大きく依存 (2/2ページ)

SankeiBiz編集部
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 冷めない中学受験熱

 一方、高額の費用にもかかわらず、中学受験の浸透はじわじわと進んでいる。文科省の学校基本調査によると、全国の私立・国立中学に通う生徒は2020年段階で約27万人で、全体の8.4%。1980年代前半の3.5%から上昇基調が続く。東京都内に限れば私立・国立中学の生徒は約7万9000人で、全体の26%にのぼる。

 同時に大学生の数も増加傾向だ。全国の大学在籍者数は2020年時点で約292万人で、過去最高だった19年とほぼ同水準。このうち4分の3にあたる216万人が私立大学に通う。浮かび上がるのは、大学進学が当たり前となる中、保護者たちが子供をなるべく早い段階から「よい学校」へ行かせようと、中学受験にお金をつぎ込み、高校、大学へと進学させる構図だ。

 こうした中、政府は高校無償化の取り組みとして高等学校等就学支援金制度を拡充し、20年4月からは支援金が最高39万6000円に引き上げられた。

 ただ、支援金は課税所得が多い世帯は対象外だ。文科省は最高額の支援金が支給される世帯年収の目安として、740万円までという数字を公表。20年度になんらかの支援金を受け取ることができた高校生は全体の約4分の3、最高額支給の高校生は全体の14%だとしている。

 高校無償化の所得制限に批判も

 こうした所得制限付きの支援には批判的な声も強い。教育費問題に詳しい日本大学文理学部の末冨芳(かおり)教授は政府支援の在り方について、「所得制限は設けるべきではない」と主張。子供の教育を受ける権利は平等で、親の収入で差別が生じるべきではないとし、すべての子供・若者を支援しつつ低中所得者には段階的に手厚くすることが重要だと訴える。

 また末冨氏は所得制限が支援を受けられる層と受けられない層の分断につながるとも指摘する。「所得制限の金額に明確な根拠を見出すことは難しい。どの子供・若者も等しく教育費支援を受け取れることがはっきりすれば、少子化対策にもなる」と話す。

 子育てが経済的な重荷となり、親のキャリア・資金面でもマイナスとなる現象は「子育て罰(チャイルド・ペナルティ)」と呼ばれる。末冨氏は立命館大学産業社会学部の桜井啓太准教授との共著「子育て罰 『親子に冷たい日本』を変えるには」(光文社新書)の中で、児童手当や高校無償化の所得制限撤廃、待機児童対策、大学無償化の所得制限緩和などのために約1.5兆円の予算を積み増すことで、状況改善の基盤が整うと分析する。

 塾通いにもあり得る支援

 教育には「学び方」というスキルを身に着け、仲間との交流でネットワークを作る意義がある。塾通いにも家庭での学習環境が整っていない子供が勉強時間を確保する場としての意味合いがあり、学校外学習に使途を限定した「バウチャー」の給付といった支援策も考えられる。

 高い教育費は保護者が教育にメリットを見出し、学校や塾にお金を払う現実の現れだ。教育の意義と保護者の期待を踏まえた包括的で安定的な支援策が求められる。

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