高島氏は同書で「『戦争につながりかねないものは徹底的に排除する』という私たちの発想や国の制度がある意味、国民に襲いかかるあらゆる危機に対してもすべからく無思考にさせていた面もあったのかもしれない」と述べ、国や行政が個人情報を取得することに極端な忌避感があると指摘していた。
コロナ禍での給付金をめぐる混乱も、原因はマイナンバーと口座情報の連携がなされていないことにあった。
ただ、高島氏自身も「国が国民を管理することへの抵抗感がある」と認めるように、マイナンバーをめぐる問題は反発が生じがちだ。デジタル臨調で高島氏は「連携すべき情報や管理手法の整理に加え、個人情報への不正アクセスへの厳罰化も同時に検討すべきだ」ともしたが、一連の問題提起は自身へのバッシングにつながる恐れはある。
それでも高島氏を支えるある福岡市議は「守りに入ったら高島流ではない。とにかく攻めなければいけない」と語る。
高島氏の政治手腕を買い、後押しした安倍晋三元首相や、その後継の菅義偉前首相に続き、岸田政権でも「高島流」は存在感を見せた。
自身の政治姿勢について「自治体運営の点から、日本を変えていくためのチャレンジ」と位置付ける高島氏は現状について周囲にこう語った。
「ありがたいですね。本当に」(中村雅和)