「五輝星」1匹500万円
資源の維持とともに鳥取県や漁業者らが取り組んでいるのが、ブランド化の推進だ。平成27年度には「五輝星(いつきぼし)」の認定制度をスタート。甲幅13・5センチ以上、販売時点の重さが1・2キロ以上、脚が全部そろっているなど5つの基準を満たした松葉ガニにこの称号を与えている。昨シーズンは103匹を認定し、1匹1万円から50万円で販売された。令和元年度には1匹500万円の高値がつく極上品が水揚げされ、話題となった。
歴史をさかのぼると、江戸時代の天明2(1782)年に当時の鳥取藩主が津山藩主に贈ったとされるなど、古くから贈答品としても珍重された松葉ガニ。漁業者らは近年、五輝星に限らず市場に出荷されるカニの質向上に力を入れており、その分漁獲高が上昇している。
今シーズン、鳥取県に割り当てられた漁獲可能量は850トン。間近に迫った漁解禁に向け、漁業者は準備に余念がない。(松田則章)