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バスケの「ポジショニング」に7つの指標 九共大と日立ハイテククーガーズが論文発表

SankeiBiz編集部
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 バスケットボールのハーフコートディフェンスの位置取りを決める観点は7つに分類されることが、九州共立大学スポーツ学部の川面剛准教授とバスケットボール女子日本リーグ機構(WJBL)に加盟する「日立ハイテク クーガーズ」の田方慎哉コーチらの研究で分かった。監督と選手の間で「望ましいポジショニング」が統一的に決められないなどの問題が浮上した際、チーム内で共通の観点を持つための一つの「指標」として活用できそうだ。研究論文は、デジタル領域の学術論文を掲載する電子ジャーナル「Journal of Digital Life」(ジャーナル・オブ・デジタル・ライフ)で公開されている。

 ポジショニングを判断する“観点”

 スポーツでの位置取りを指す「ポジショニング」は、試合を優位に進めるための重要な要素の一つ。バスケではハーフコートの狭いスペースを駆使して攻防が繰り広げられるため、一瞬の判断・動き一つ一つが点数に直結する。特にディフェンスをする際は、ボールを持っている選手(ボールマン)と自分がマークしている選手の2人に意識を向けながら、常に相手の得点を阻止するための動きがとれるよう、あらゆる攻勢に対応できる位置取りをすることが求められる。

 まさに堅牢な守備に「最適なポジショニング」は必要不可欠といえるが、一方、監督やチームメイトがどのような観点で最適なポジションを判断しているのか、全員で共有するのは難しい側面もあるという。論文では「指導者が提示したディフェンス戦術を、選手が必ずしも理解しているとは限らないため、まずコート上で実際に動いている選手がどのような考えを持ち、どこに着眼点を置いているのかを知ることで、練習プログラムの構成も変わると考えられる」と背景を説明。その上で、ハーフコートディフェンスで「統一的な観点」を設けることを目的に検討した。

 実際の公式試合のプレーを元に検証

 検証は、ある地域の大学バスケットボール連盟の1部リーグと2部リーグに所属する男子大学生110人と女子82人、計192人の「公式大会での実際のプレー」を対象に行われた。対象者が試合でハーフコートディフェンスを行ったシーンを抽出し、オンボール・スクリーンやピック&ロールなどプレーを5領域、21項目に分類。プレー前後の選手10人の位置取りと視線を図に起こした。それらを載せたアンケート用紙を各大学の指導者を通じて被検者に配布。各シーンのディフェンスのポジショニングを5段階で採点し、その点数をつけた理由も記述式で回答を募った。理由は項目ごとに5~8種類に分類した。

 その結果、ディフェンスのポジショニングを判断する際の観点は、「ウィークサイドのディフェンス位置」「ストロングサイドのディフェンス位置」「ボールマンのディフェンス位置」「全般的なディフェンス位置」「プレーの選択に関わるディフェンス位置」「連携に関わるディフェンス位置」「状況判断の観点に関わるディフェンス位置」の7カテゴリーに分類された。

 プレーごとの平均点の差を、統計処理ソフト(IBM SPSS statistics24)で分散分析。有意差のみられた理由のみを取り上げ、その頻度を比較したところ、最も多く上がったのは「ウィークサイドのディフェンス位置」だった。

 ウィークサイドの重要性

 ウィークサイドとは、ディフェンスの人数が少なく、守りが弱いサイドのことを指す。試合はボールマンが中心と捉えられがちだが、意外にも、ボールマンから離れたウィークサイドに注目する対象者が多かったという。

 論文では、ウィークサイドについて「オフェンスのボールマンとの距離を十分に取れるためチーム戦術や個人の選択肢が広い。ディフェンスには①守りを固めて相手の攻撃を防ぐ②オフェンスの選択肢を減らして攻撃を仕掛けるという2つの考え方がある。ウィークサイドに着目すれば、①、②のいずれもが可能となる」と、その効果を解説。「ハーフコートディフェンスのポジショニングについては、ストロングサイドやボールマンより、ウィークサイドが重視される」と結論付けた。

◆論文の詳細はこちらから

Impact on evaluation of Viewpoints to assess the positioning on half-court defense in the basketball

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