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集いの場へ…楽しみ2倍、変わるスタジアム ジムや保育園を併設 (1/2ページ)

 サッカースタジアムはサッカーの試合を観戦するだけの施設。そんな固定観念は通用しない。Jリーグチームの本拠地として関西に新しく誕生したスタジアムでは、テレワークなどで活用できるコワーキングスペースを提供したり、フィットネスジムや保育園を併設したり…。コロナ禍で観客が減少するなか、サッカーファン以外も対象にした新たなサービスが始まっている。

 にぎわいを創出

 大画面モニターが埋め込まれた部屋に、41台の高性能パソコンがずらりと並ぶ。楽しめるのは、格闘系やパズル系、スポーツ系など20種類以上のコンピューターで対戦するeスポーツだ。

 ここは「サンガスタジアムbyKYOCERA」(京都府亀岡市)。サッカーJ2、京都サンガの本拠地だ。11月6日、4階に「eスポーツゾーン」がグランドオープンした。愛好者によるイベントのほか、プログラミング教室なども開催する。

 また、同じフロアには、仮想現実(VR)を取り入れたフィットネスゾーンもオープン。プロジェクションマッピングなども活用し、ハワイや宇宙空間にいるような感覚でヨガを楽しめる。

 同スタジアムは昨年1月に開場。所有者は京都府だが、指定管理者として運営するのはスポーツ施設の経営を手掛ける「ビバ」(京都市)と京都サンガの運営会社で設立した「合同会社ビバ&サンガ」だ。JR亀岡駅に隣接する好立地を生かし、今年6月には保育園も開園。スタジアムに併設された保育園は初という。

 ビバ&サンガの職務執行者、小森敏史さんは「京都府からはスタジアムをプロフィットセンター(利益を生む部門)にしてほしいといわれた。単に収益を出すというのではなく、にぎわいも創出したい」と話す。

 ブランド力発揮

 秋の気配が色濃くなっていた10月。J1、セレッソ大阪の新たな本拠地「ヨドコウ桜スタジアム」(大阪市東住吉区)のピッチに、大小さまざまなテントが林立した。チームの運営会社が初めて企画した「大人のキャンプ in ヨドコウ桜スタジアム」だ。参加者らはバーベキューや施設見学を楽しみ、選手らが使用するロッカー室で着替えや入浴をした。

 セレッソ大阪の桜スタジアムプロデュースグループ長、音田堅太郎さんは「キャンプ愛好家を狙ったが、募集するとセレッソファンの家族連れが多かった。それだけ関心が高いということ。試合がないときに休眠状態になりがちなスタジアムをどう活用していくかがポイント」と話す。

 JR鶴ケ丘駅や大阪メトロ御堂筋線長居駅近くに立地する同スタジアム。ファンらから寄付を募り、数次にわたる改修工事を経て今年7月に開場した。大阪市が所有するが、セレッソ大阪スポーツクラブが指定管理者だ。

 9月には「桜カレッジ」と題し、スポンサー企業やパートナー企業となっている「アップ学習会」や「ECC外語学院」と提携した学習塾や外国語教室を開講。12月からはそろばん教室も始まる予定で、音田さんは「プロサッカーチームとして多くの企業とつながっているのも強み。セレッソのブランド力も発揮できる。スタジアムを『フック』にする利点は多い」と強調する。

 「稼げる」場所に

 サッカー観戦以外の施設や、取り組みを積極的に導入するスタジアム。背景には、コロナ禍で激減した入場料などの収入を補う狙いもある。

 無観客試合や観客上限設定などが続いた2年度のJリーグの入場料収入は約80億円で、前年度から約6割減少。コロナ収束後に向けて人を呼び込む仕掛けをつくることでスタジアムの認知度をあげるとともに、ファンやサポーターを増やして試合に誘導したい考えだ。

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