メタンハイドレートの経済効果3.3兆円 政府による初の試算

 

 政府が商業化に向けた開発を進めている次世代燃料「メタンハイドレート」の経済効果について、経済産業省が3兆3000億円超の売り上げを見込む試算をまとめたことが17日、分かった。

 メタンハイドレートの政府による経済効果の試算は初めて。技術開発などで投資した予算総額の30倍を超える収入を見込んだことで、16年度から最終段階に入る開発計画の進展に期待が高まりそうだ。

 「燃える氷」とも呼ばれるメタンハイドレートは、海底など低温高圧の環境でシャーベット状の固体になっており、分解することで天然ガスの主成分であるメタンを回収できる。日本周辺では愛知県沖の東部南海トラフで10カ所以上の濃集帯(ガス田)が確認され、1カ所当たり1日100万立方メートル程度の生産が期待できる。1カ所の操業期間は15年程度になるとみられ、仮に10カ所で操業できれば総生産量は547億5000万立方メートルに上る。

 試算では、日本エネルギー経済研究所の予想に基づき操業時の日本市場の天然ガス価格を100万BTU(英国熱量単位)当たり13.45ドルと仮定。この結果、メタンハイドレートの販売で3兆3638億円の売り上げが見込めるという。

 政府は01~18年度の計画でメタンハイドレートの開発を進めている。最終段階に位置付けた16~18年度のフェーズ3では、2回目の海洋産出試験を含む商業化に向けた技術開発や、経済性の検討、環境影響の評価などを実施。終了後は民間主体の開発に移行し、10年程度後に商業化プロジェクトの開始を目指す。今年度で終了するフェーズ2までに計上した予算総額は926億円。

 一方、今回の試算は産出施設の整備費や、操業に必要なコストなどは考慮していない。通常の天然ガスより割高になるであろうメタンハイドレート由来のガスが市場で売りさばけるかも不透明だ。経産省幹部は“夢の国産資源”の実現に向け、「民間主導で利益が出せるよう、試算をもとに計画を詰めていきたい」と話す。