通信途絶の天文衛星「ひとみ」内部異常で分裂か JAXA「非常に重大な事態」

 
エックス線天文衛星「ひとみ」の模型を使って記者会見するJAXAの担当者=1日午後、東京都千代田区

 通信が途絶したエックス線天文衛星「ひとみ」について宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日、機体内部の異常が原因で分裂した可能性が高いことを明らかにした。電波は3月29日未明以降、受信できておらず、原因究明と対策は長期化する可能性が出てきた。

 JAXAの常田佐久宇宙科学研究所長は会見で「衛星は破片が観測されたが、本体は残存しているとみている。復旧に向け全力で臨むが、非常に重大な事態だ」との認識を示した。

 米軍の観測によると、ひとみは3月26日午前10時40分ごろに機体が分裂したとみられる。その約6時間前には姿勢に異常が発生していたことから、JAXAは宇宙空間を漂う物体が衝突したのではなく、機体内部の異常が原因で分裂したとの見方を強めている。

 分裂の原因は燃料タンクの異常や、電池の温度上昇による爆発などが考えられるが、いずれも可能性は低いという。JAXAは国内の観測で破片と衛星本体とみられる物体を確認した。

 姿勢異常で太陽電池パネルを太陽に正常に向けられず、電力が低下して通信が途絶したとみられる。分裂の影響で機体は回転し、制御できない状態に陥った。