G7環境相会合 声明の表現後退、同床異夢を露呈
16日に閉幕したG7環境相会合の共同声明は、地球温暖化対策の長期戦略について当初予定した「(期限の)2020年より十分に前倒し」から後退を迫られた。G7は昨年合意した新枠組み「パリ協定」の早期批准を目指すが、一部の国はむやみに対策を急げない事情を抱え同床異夢が露呈している。
長期戦略は、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロに抑えるため、パリ協定に基づき各国が提出を求められたもの。共同声明では提出時期の前倒しに努力しつつ、「定められた期限内に策定」するとの表現で落ち着いた。
温暖化対策に積極的なドイツやフランスが声明で踏み込んだ表現を求めたのに対し、イタリアや英国が難色を示したもようだ。
パリ協定は4月の署名式で世界の9割に当たる175カ国・地域が署名し、国内の批准手続きに移った。
ただ、交渉をリードした欧州連合(EU)は南北で経済格差が大きく、域内28カ国で排出責任をどう分担するか決まっていない。
名古屋大大学院の高村ゆかり教授は「50年を見据えた長期戦略の策定は、対策が遅れている国にとってハードルが高い」と指摘する。
米国は長期戦略の前倒しに前向きだが、大統領選で共和党の候補者指名を確実にした不動産王ドナルド・トランプ氏が「地球温暖化はでたらめ」と批判を強めている。選挙結果次第では、そもそも枠組みから離脱する恐れが指摘される。
世界各国はパリ協定に基づき20年に足元の削減目標の見直しを求められる。長期戦略の提出が早まれば、整合性をとるため目標も深掘りするよう圧力がかかり、温暖化対策は加速する。先進国が世界のリーダーとしてこの問題を牽引(けんいん)できるかの試金石となるだけに、足並みをそろえられるか今後も問われそうだ。
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