ポッカサッポロ&ビバ、豆腐需要予測にビッグデータ活用 食品ロス低減
ポッカサッポロフード&ビバレッジグループは5月から、ビッグデータを活用した豆腐需要予測を開始した。豆腐の過剰生産による廃棄や返品などの無駄を減らすのが狙いだ。
健康食品として世界中で注目が集まる豆腐だが、保存期間が短く、在庫を抱えることができないため、適正生産量を決めることが難しい食品の一つとされている。生産量が多いと廃棄や返品が発生する一方で、欠品となれば売り上げ機会を損失するほか顧客の信頼を失いかねないためだ。
同グループで豆腐などを製造・販売する日本ビーンズ(東京都中央区)の群馬工場(群馬県伊勢崎市)は午前8時に生産量を決めている。
これまでは需要予測を行う担当者が長年の経験をもとに翌日の豆腐の売れ行きを見込んで生産していた。しかし、需要を完全に予測することは難しい。しかも「生産予測のノウハウがベテラン担当者の経験と勘では、若手社員ら次世代に伝承できない。このため見直す必要に迫られていた」と経営戦略部の勝又嘉之マネージャーは振り返る。
こうして生産予測システムの導入に向けかじを切った。着目したのはアルゴリズムによるデータ解析などの技術。オプトホールディングが運営するビッグデータ分析専門組織「オプトデータサイエンスラボ」などと連携し、豆腐の適正生産量を予測するモデルのシステム開発でコンペを開催。そのコンペで得られた生産予測モデルを、年400万丁を生産する「おぼろ豆腐」の生産予測に活用することにした。予測システムは誰でも使えるように気温などの気象データや日付、特売の情報など5項目を入力するだけの簡単なものにした。
「導入前は誰もが担当者の予測精度を上回ることはないと思っていた」(勝又氏)が、蓋を開けてみると予測システムによる需要予測の精度は15%も向上、担当者を上回った。
現在は担当者の経験と勘に加え、予測システムのデータを活用することで需要予測は一段と向上し、食品ロスの低減につながっている。勝又氏は今後の展開について、「予測精度のさらなる向上に向けシステムを刷新していくほか、他の製品などの生産予測にも広げていきたい」と意欲を燃やしている。
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