キーワードは「逆転のカープ」 広島リーグ優勝を実現した脅威の出塁率
緒方監督が7度宙に舞い、涙をこらえきれない黒田と新井も続いて胴上げされた。広島の25年ぶり栄冠は今季42度目の逆転勝利でもたらされた。ナインは「今季を象徴する形」と口をそろえた。「逆転のカープ」が神髄をみせた。
大一番でも「神っていた」。1-2の四回、鈴木が左翼席へチーム初安打となる同点ソロを放った。マジック点灯後、全試合で安打を放ってきた4年目の22歳も「今までにない緊張感を感じていた」。だが、この一発で打線はが目覚め、続く松山も右越えソロ。鈴木は五回にも2打席連続の2ラン。優勝を信じて敵地に乗り込んだカープファンは歓喜に沸いた。
3本塁打で勝利を決めたが、呼び込んだのはチームに染み込んだ「つなぐ意識」。一回、あっさり3三振を喫すると、徹底して粘る作戦に転換。球数を投げさせ、ボディーブローのようにじわじわと巨人先発のマイコラスを追い込んだ。昨秋から取り組んできた攻撃の意識改革の成果だった。
昨季は拙攻で3季ぶりにクライマックスシリーズ進出を逃したが、今季は打率、得点、本塁打、盗塁など攻撃部門のチーム成績はリーグ1位。ヤクルトの山田やDeNAの筒香のような強打者はいない。1点をどう奪うか、「出塁率」をカギに掲げてきた。
「投手は無駄な四球が失点につながる。逆に攻撃の波を少なくするにはいかに四球を取るか」(石井打撃コーチ)。簡単な三振を減らして四球を稼ぎ、凡打でも走者を進める緻密(ちみつ)さを求めた。出塁率3割4分6厘(9日時点)は過去10年のリーグでトップクラスだ。
1番打者の田中は逆方向への打球を増やし、打率は昨季並みながら四死球の数はほぼ倍増。同学年の菊池、丸と3割後半の出塁率を誇る、相手には厄介な上位打線を形成した。新井や鈴木らが打点を稼ぐのも「塁に走者がいるからこそ。出塁率はなかなか表には出ないけどチームを象徴している」と石井コーチは胸を張る。
緒方監督は「今季ずっと戦ってきた戦いが今日もできた。一試合一試合、力をつけて頼もしい限り」とお立ち台で選手をねぎらった。打線の軸を務め切った丸は「悔しい思いをして、秋からすべてこのためにやってきた。決まった瞬間すべてが報われた」と、喜びをかみしめた。(大宮健司)
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