もしピコ太郎「PPAP」を製品化したら…莫大なもうけは誰のもの?

生かせ!知財ビジネス
ピコ太郎のライブ。「PPAP」は「まさに発明ソングだ」と知財関係者にも人気が高い(川崎市)

 世界的な大ブームを巻き起こしているピコ太郎の「PPAP」。実は知財関係者の間でも「まさに発明ソングだ」と評判がいい。もし今、ピコ太郎が世界中の発明家や研究者、事業家などへ向けて、リアルなPPAP製品の開発、実現を呼びかけたなら、どうなるか。

 ひょっとすると、多くのアイデアと資金、技術などが集まって合体し、数々の連携プロジェクトが組成され、そこで生まれるさまざまなPPAP製品が世界中で売られるかもしれない。世界的なイノベーションアワードを総なめにする製品が誕生すれば、さぞ楽しいだろう。

 では莫大(ばくだい)なもうけが出たとして、その製品の具現化に参加した人たちへの対価はどう配分するか。まず、ピコ太郎には多額のブランド使用料が入るだろう。ちなみに8日までで、国内ではエイベックス・グループ・ホールディングスなど2社が「PPAP」の商標を出願済みで、ピコ太郎自身は出願していないようだ。

 次に参加者はどうか。当然、事前の契約は欠かせない。提供した労力、資本、知財、情報などに対する評価を決め、貢献度を対価として計算できるようにしておく必要がある。対価は不要という無償提供者にも契約は必要だ。他人のアイデアを盗用する者がいたなら、製品の生産や販売が差し止められ、損害賠償請求されるかもしれないので、契約には保証や補償の項目も入るだろう。このようにPPAP製品の実現には、多くの交渉、契約が必要になる。しかも世界中が相手だ。

 2017年が明けた。IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)をはじめとする第四次産業革命への産業界の注目度は依然高く、日本企業の課題は今年も引き続きグローバル化への対応になる。中でも特許や商標、意匠、営業秘密などに加え、発想やデータなどの(広義の)知財が交渉材料として重要度を増すだろう。なぜなら、第四次の時代は知的資本が最も重要になるからだ。モノづくりは大事だが、モノをつなぐ“コトづくり”のベースとなる知的なものの幅が広がる。これらは旧来の知財のノリを超える。「新知財」とも呼ぶべきカテゴリーの引き直しが必要になるのではないか。

 日本企業には今年も苦闘の道が続きそうだが、最後にはピコ太郎のように、ニヤリと笑って踊れるようになることを祈りたい。(知財情報&戦略システム 中岡浩)