『君の名は。』の聖地巡礼ブームに負けるな! オヤジの「中年巡礼」はここに行け
最近の流行りと言えば、「聖地巡礼」だ。「聖地」というが、そこに宗教的な意味はない。要するにアニメやドラマにゆかりのある場所を訪問することである。その様子をSNSに投稿したりもする。
この1年で話題になった聖地巡礼といえば大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』関連だ。ポスターのモデルになったという新宿四谷の須賀神社の階段や、劇中に登場する湖のモチーフとなった場所などに訪問する者が相次いだ。
コンテンツ関連だけではない。有名な芸能人の実家などは聖地巡礼スポットとなり得る。例えば、嵐の構成員であり、ここ数年、紅白歌合戦の司会をするなど大活躍している相葉雅紀の実家の中華料理屋などは聖地巡礼スポットとして人気を呼んでいる。
現地に行かなければ分からないことは確かにある。私はこれを「現地力」と呼んでいる。その場に行くと、「そりゃこんな田舎にいると、主人公は都会に出たいと思うよな」とか「この重苦しい海と空を見ていたら、暗い曲でも作りたくなるは」と理解できるものだ。
ただ、『君の名は。』だの、相葉雅紀の実家だの聞いていて、我々中年は「聖地巡礼って、そんなものか?」と言いたくなるものである。『機動戦士ガンダム』のセイラ・マス風に言うなら「この軟弱者!」と叫びたくもなる。いや、正確には中年には中年の聖地があるのだ。
中年が行くべき、聖地をご紹介しよう! 君はいくつ行ったかな?
1.『北の国から』の富良野
中年の鉄板ネタ。残念ながら資料館は閉館してしまったが、それでも、街全体が『北の国から』テーマパーク状態。劇中に登場する石の家や、中畑木材店のモデルとなった店舗もある。田中邦衛風に「純!蛍ぅ!」と思わず言いたくなる。富良野駅のホームで電車を追っかけて走るなどのプレイも可能。宿泊は、蛍と正吉が泊まった新富良野プリンスホテルで。
私は『北の国から』が好きすぎて、今までに何度も富良野を訪問した。あのドラマが売れて富良野は同作品のテーマパーク化していったが、大変失礼だが、行ってみると相変わらずいい味は出しているものの、静かな小さな街であり。そりゃ、純が東京に帰りたいと言いたくなると思った次第だ。ちなみに、私はここでプロポーズして、結婚したよ。
2.森高千里の歌に登場する「渡良瀬橋」
中年のアンセムソングと言えば、森高千里。中でも、思わず行きたくなるのは「渡良瀬橋」。かなり田舎だけに、達成感は満点。もちろん、iPhoneで曲を聴きながら行くのだ。
3.『キャプテン翼』の南葛エリア
いま思うと、初期の『キャプテン翼』は特撮サッカーみたいで色々、すごい。ヨーロッパのプロの試合でもあんな気合いの入った、アクロバティックなシュートはない。私は『キャプテン翼』で初めてサッカーを知ったくらいの世代なので、プロの試合が意外に地味でびっくりした(当たり前だ)。
舞台は東京の葛飾区。京成四ツ木駅付近など、葛飾区には同作品の銅像がいっぱい。サッカーファンは、行くのだ。
4.『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の亀有駅
昨年、作品が終了したこち亀。これもまた葛飾区など、下町が舞台。亀有駅前にある銅像を拝みに行くべし。近くにあるアリオ亀有には、両さんの着ぐるみが登場することも。帰りに立石で立ち飲みもグー。柴又に行くと、寅さん像も。
葛飾区の隣、墨田区に住んでいる私は、両さんと毎日すれ違っている気分になる。スカイツリーなどで盛り上がっているこの街だが、両さんの劇中に出てくる光景と自分がいつも重なる。しかし、この街に両さんがいるってスゴイことだなと思いつつ。
5.X JAPANのHIDEの聖地、築地本願寺
ミュージシャン関連も押さえておこう。HIDEが亡くなってからもうすぐ20年。葬儀が行われた築地本願寺は聖地となっている。帰りに寿司屋で音楽トークもあり。
まだまだあるが、この辺で。個人的な思い出で言うと、学生時代に、グランジブームの聖地、アメリカのシアトルに行ったことが忘れられない。ニルヴァーナなどを生み出した都市は、どんなところなのか、と。あの重苦しい空と海。そりゃ、ああいう音楽作りたくなると思った。
さあ、あなたの聖地はどこ?
【プロフィル】常見陽平(つねみ・ようへい)
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。
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【常見陽平のビバ!中年】は働き方評論家の常見陽平さんが「中年男性の働き方」をテーマに執筆した連載コラムです。更新は隔週月曜日。
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