富士山が大噴火した宝永時代の名残りの噴火口【拡大】
こうした状況下で静岡、山梨、神奈川の3県と国などでつくる協議会は今月9日、富士山の噴火時に周辺住民を危険度に応じて段階的に避難させる広域避難計画を決定した。溶岩流などが到達する可能性がある静岡、山梨両県の15市町村を5つのゾーンに分け、順次避難させる計画で、両県で避難対象は延べ最大75万人に上ると推計した。
静岡県の防災担当者は「世界文化遺産登録に向けて避難対象者の増加も考慮する必要がある。今年度中にも具体的な避難手段などのシミュレーションを作りたい」と話す。
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提言で観測態勢の強化が指摘されたように、火山観測の現場では専門家や研究費不足が深刻化している。
「毎日、山の顔色を見ている研究者がいるだけで予測精度に大きな差が出る。それなのに最近は現場に密着した研究者が減る一方だ」。噴火予知で活躍、北海道・有珠山のホームドクター(かかりつけ医)と呼ばれた岡田弘北海道大名誉教授は危機感を募らせる。