13日に心不全のため、94歳で亡くなった、やなせたかしさんは漫画界の重鎮として、晩年まで豊かな活動を続けた。代表作「アンパンマン」は世代を超えた人気で、東日本大震災の際は被災者向けにメッセージとイラストを描いた。被災地ではテレビアニメの主題歌「アンパンマンのマーチ」も繰り返し放送され、多くの人に勇気を与えた。
「本当の正義の味方は、戦うより先に、飢える子供にパンを分け与えて助ける人だろう、と。そんなヒーローをつくろうと思った」
平成24年夏、「アンパンマン」の劇場版アニメの公開時、やなせさんはこう語っていた。弱い者に寄り添い、自らを犠牲にして子供を助ける。そのヒーロー像には、やなせさん自身の体験が反映されている。
昭和16年に徴兵され、中国へ出征。戦地では食料がなく、タンポポなどの野草を食べたこともあった。人間にとって最もつらいのは「飢え」だと痛感した。