1杯に使われるオレンジは2個程度。ジュース搾りを担当する新人のコックやアルバイト従業員の人件費だけでなく、大量の絞りかすの処理費用もかさんでいたとされる。
従業員は「ストレートジュースに切り替えられた一番の目的は、経費が半分以下で済むことだ」と語る。
同じグループの阪急阪神ホテルズ系列のレストランで、メニューと異なる食材が使われていた問題が報道されると、厨房の雰囲気は一気に慌ただしくなった。「箝口令(かんこうれい)が出るんじゃないか」。厨房周辺でこんな声も聞こえたという。
ホテルは当初、産経新聞の取材に「(問題発覚)以前から細心の注意を払っている」などとしていたが、実際は「フレッシュジュース」と記載されたメニューを公表前に修正していた。
日大法学部の福田充教授(44)=危機管理論=は「公表前にメニュー表記を直すのは、客や社会に対する背信行為。ミスがあったらただちに公表すべきだった」と指摘。「何とかごまかせるとでも考えたのではないか」とホテル側の姿勢を批判している。
従業員は「客から見えないところで、こそこそ隠蔽しようとする姿勢が腹立たしい。自分はこんなところで仕事をしていたのかと思った」と話した。