そこで3氏は、反応に重要な中心部だけを量子化学で細かく計算し、それ以外は古典力学でおおまかに計算する手法を開発。両者の長所を組み合わせることで実用的なシミュレーションに道を開いた。
この分野の研究には、京都大福井謙一記念研究センター・シニアリサーチフェローで米エモリー大名誉教授の諸熊奎治(もろくま・けいじ)氏(79)も貢献した。
諸熊氏は81年に化学賞を受賞した福井謙一氏に師事し、90年代により発展的な「ONIOM(オニオム)」という計算法を開発。3氏の手法より汎用(はんよう)性が高いのが特徴で、タンパク質など生体の高分子だけでなく、触媒反応や光化学反応なども解析できるようになった。
理論化学での受賞者は15年ぶり。カープラス氏らと親交がある諸熊氏は「(3氏は)方法の開発で先見の明があった。誰が受賞するかより、理論・計算化学が評価されたことの方が大事。大変うれしく思う」と話した。(黒田悠希)