バンクーバー五輪で浅田選手と(塩浦孝明撮影)【拡大】
〈タラソワさんと離れた浅田選手はバンクーバー五輪の後、調子を落とした。そして2011年12月、浅田選手の競技人生を支えてきた母、匡子(きょうこ)さんがこの世を去った〉
真央がモスクワに来るときはいつもお母さんと一緒で、私は尊敬の念を持って、匡子さんと接していた。控えめでとても聡明(そうめい)で、真央に強いパワーを与える方だった。
匡子さんは亡くなる前に私に手紙を下さいました。感謝の言葉が記されていたが、病気のことには一言も触れていなかった。この手紙は病に伏せた人が書く文章だと、後になって理解した。本当に芯の強い方だった。母親の死は真央にとって最大の悲劇だった。そして私も真央の元を去った。私たちは真央のエネルギーの源だった。だから、調子を落としたのも無理はないのです。(聞き手 佐々木正明)
【プロフィル】タチアナ・タラソワ
1947年、モスクワ生まれ。4歳からフィギュアスケートを始め、10代でペア競技の欧州王者に。負傷のため19歳で現役を引退、コーチに転じた。トリノ五輪金メダルの荒川静香選手らを指導。浅田真央選手とは2007年から、かつては専属コーチとして、現在は演目の振付師として師弟関係が続いている。