小泉、安倍両氏は派閥の系譜が同じでも、おかれた時代環境、政治手法、それ以上に国家戦略が違う。小泉氏の一点突破は、政策の突破口を探し当てると力を結集して全面展開していく。ところが安倍首相のそれは、世界を俯瞰(ふかん)して戦略を立てると、周到にコマを動かす。
「石油ゼロ」への不安
小泉氏は「点」に集中するが、安倍首相は「面」を考えていよう。安倍首相の資源外交チームは、南シナ海からインド洋を経て中東に延びる経済動脈を視野にとらえている。
日本のエネルギー自給率をみれば、東日本大震災で原発が止まって20%から6%に落ちた。ドイツなど主要国は10%程度を維持している。自給率が低ければ、資源国や輸送ルート上で紛争が発生すると、とたんに大きなダメージを受ける。石油飽食国家の中国が世界で買いあさっているときに、小泉氏のいう「(原発ゼロで)知恵のある人がいい案を出してくれる」までの期間をどうするのか。
第1次石油ショックの際は、90%を海外に依存していたため経済が直撃を受けた。この苦い経験があるからこそ日本は原子力に取り組んだ。ところが3・11の大震災で、再び化石燃料の依存度が92%に跳ね上がり、石油ショック時より悪くなった。