その名の通り、この鳥が頭に載せている“冠”は幼鳥のころに形づくられるため、それを「学力」に見立てて、すべての児童・生徒が素晴らしい“冠”を身につけて世界へ羽ばたいてほしいという願いを込めたという。
現在、石垣市には小学校20校と中学校9校(うち小・中併置4校)があるが、最大の課題は全国レベルに比べると見劣りする児童・生徒の学力だという。
「『冠鷲プロジェクト』は今年で3年目に入り、ようやく沖縄県の平均レベルにたどり着きました。これからは県内トップレベルの学力水準を目指して頑張ります」(玉津教育長)
そんな児童・生徒に「何のために勉強するのか」という学習の具体的な目的意識を育ませるのが本土での体験学習。その一環として「郷土の偉人・大浜信泉先生」を生んだ早稲田大学を、その目で実際に見、総長や大学生のお兄さん・お姉さんたちの声を聞き、そして「大学」という場を実際に経験させようというわけだ。
「私は子供たちによく言うんです。“百聞は一見にしかず”と言うが、“一見は一経にしかず”で、何事も経験が一番大切だよと」(玉津教育長)
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■「進路選択に生かしていきたい」と感激
今回の体験学習に参加したのは市内6中学校の校長が推薦した2、3年生の男子9人と女子21人(3校は学校行事などとの関係で辞退)。成績だけでなく、日ごろの意見発表やクラブ活動への取り組みなど、生徒たちの多様な能力を勘案した結果だという。
玉津教育長や教育委員会の職員に引率されて早稲田キャンパスに着いた中学生たちは、黄葉したイチョウ並木にまず目を見張った。島では木々が色づくことはないからだ。
一行を前に鎌田総長は「早稲田大学にとっても石垣市は特別な場所。歴代総長の中でもっとも長くその椅子にあった大浜先生の出身地であり、私が早稲田に入学したときの総長も大浜先生でした。先生のおかげで多くの卒業生が八重山諸島で活躍しています。皆さんも頑張って、どうぞ早稲田に入ってきてください」と話しかけた。