白血病治療薬の臨床研究のデータ回収に治療薬を販売するノバルティスファーマの社員が関与していた問題で、ノ社の第三者調査委員会は2日、こうした行為が「個人情報保護法に違反する可能性が高い」とする調査報告書を公表した。研究課程で患者2人が重症の副作用を訴えたのに、社員は放置し、厚生労働相への副作用報告を義務付けた薬事法に違反する恐れがあることも新たに分かった。
ノ社は、高血圧治療の降圧剤「ディオバン」の臨床研究でも、薬事法違反(誇大広告)の疑いで東京地検の家宅捜索を受けている。営業成績の向上のため、医師ともたれ合いの関係を続けていた同社の体質が改めて浮き彫りになった。
報告書では、研究に参加した医師が集めたアンケート形式の患者データを社員が不正に入手したと指摘。コーヒーチケットなどの景品を出すなどし、社員に回収数を競わせていたことについて「ゲーム感覚で競争の対象にする発想は倫理観の欠如」と断罪した。
回収したデータには副作用の記述もあったが、社員が大半を会社に報告せず、放置していたことについては「(データを)不正に入手したとの後ろめたさから、報告を躊躇(ちゅうちょ)したと推測される」とした。