東芝の半導体の研究データが韓国のライバル企業に不正流出した事件で、東芝の業務提携先メーカーの元技術者、杉田吉隆容疑者(52)=北九州市=が「転職を有利にするため、優秀な研究者に見えるようにデータを利用した」と供述していることが3日、捜査関係者への取材で分かった。転職先では役員級の待遇を受けており、データ提供の見返りだったとみられる。東京地検は同日、不正競争防止法違反罪で、杉田容疑者を起訴した。
起訴状によると、杉田被告は半導体メーカー「サンディスク」の技術者だった平成20年1~5月、東芝の開発拠点の工場で、「NAND型」フラッシュメモリーの最新の研究データを記録媒体に不正にコピー。韓国の半導体大手メーカー「SKハイニックス」に転職後の同年7月以降、SK社の社員らにデータを提供したとしている。
NAND型は東芝の主力商品で、研究データは社内でアクセスが制限されるなどした「営業秘密」だった。杉田被告にはアクセス権限が与えられていたが、コピーしたり、退職後に秘密を漏洩(ろうえい)したりすることを禁止されていたという。
SK社ではコピーしたデータを基に作成した資料をスライドで上映して多数の社員に見せたほか、フラッシュメモリーの開発担当者にメールで送っていた。
捜査関係者によると、杉田被告はサン社で19年に降格処分を受けており、周囲には待遇への不満を漏らしていたという。