【飛び立つミャンマー】ビルマ初代首相肖像、家族の元へ 戦後史刻み70年ぶり (2/3ページ)

2014.4.18 05:00

かつて自宅にあったバー・モウ氏の肖像画の複製を前に、父、伊原宇三郎氏の思い出を語る乙彰氏(宮野弘之撮影)

かつて自宅にあったバー・モウ氏の肖像画の複製を前に、父、伊原宇三郎氏の思い出を語る乙彰氏(宮野弘之撮影)【拡大】

 実物は東京・竹橋の国立近代美術館に保管され、94年に徳島県立美術館などで開かれた宇三郎氏生誕100年記念の展覧会で展示された。

 しかし、返還は容易にはいかなかった。実はバー・モウ氏の肖像画は、米国から貸与されているだけで日本に所有権はなく、日本側の意思だけではミャンマーに返そうにも返せないことがわかったからだ。

 戦後、米軍は藤田嗣治氏や伊原氏、小磯良平氏ら有名画家による戦争画を戦利品として接収しており、バー・モウ氏の肖像画もその一つだ。戦時中、伊原氏は軍に徴用され、戦地の模様やビルマの文化・風習などを描いており、肖像画も他の作品とともに米本土に送られた。

 ◆米から無期限貸与

 60年代に入り、米国との返還交渉が行われ、日本に戻されることになったものの戦利品という位置付けは変わらず、戦後70年近くたった今も他の152点の戦争画とともに、日本に無期限貸与されているのだ。

 そこで、原画の返還ではなく複製画を送ることにし、仙谷氏が徳島の大塚国際美術館に相談したところ、同美術館が展示している陶板画を制作している大塚オーミ陶業が、複製を請け負うことになった。

 美術館から提供された原画のポジフィルムをもとに作られた陶板の複製画は、額縁を含めて縦116センチ、横89.8センチと大きさは実物と同じだが、重さは約60キロにもなった。先日、厳重に梱包(こんぽう)され、船でミャンマーに送られた。来月にはユザさんらの元に届けられる。

 バー・モウ氏は戦時中、日本軍に協力したとして、ミャンマーでは建国の父とされるアウンサン将軍に比べ、あまり評価されていない。しかし、バー・モウ氏が一貫してミャンマーの独立と民主主義の確立、さらに日本とミャンマーの友好に尽力したのも事実だ。今回の肖像画の返還が、バー・モウ氏のミャンマーだけでなく、日本での再評価につながるきっかけとなることを期待したい。

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