W杯1次リーグ突破を早々と決めたC組のコロンビア。サッカーを「国技」と呼んではばからず、16年ぶりに出場した今大会は国中を巻き込む祭典となった。5年前から同国柔道代表のヘッドコーチを務める早川憲幸氏(33)が、歓喜に沸く同国内の「熱」を産経新聞に寄稿した。
●(=サッカーボールマーク) ●(=サッカーボールマーク) ●(=サッカーボールマーク)
民家の窓には国旗(黄、青、赤の三色旗)が飾られ、黄色のユニホームを着た人々が町にあふれる。あらゆるスポーツの中でも、サッカーの待遇は別格だ。国内リーグは娯楽の花形。テレビコマーシャルで代表選手を見ない日はない。
W杯期間中は、スーパーマーケットや小さな売店にあるテレビの前に人垣ができ、お酒を飲みながら観戦を楽しんでいる。ショッピングモールに併設された映画館も、パブリックビューイングの会場という。
ただし、コロンビア代表の試合は別。みんな自宅観戦なのか、14日のギリシャ戦は昼どきにも関わらず、スーパーや売店には1人の客もいなかった。店員も黄色のユニホームで臨戦態勢。フロアに備え付けのテレビで試合に吸い込まれ、仕事はそっちのけだ。試合後は勝利を祝って車やバイクがクラクションを鳴らし、街を流していた。
私の住むカリ市にはプロ球団が2つあり、サポーター同士の乱闘は珍しくない。公園にはサッカーを楽しむ子供があふれ、サッカー教室も数多く開かれている。
一方で、街によっては路上生活を送る貧しい子供もいる。シューズを買えずに、裸足でボールを蹴る光景もある。サッカーは貧しい人々にとって、身を立てるための特別なスポーツ。子供たちは代表選手の活躍に自分たちの未来を重ね、黄色いユニホームを着て躍動する日を夢見ている。
日本は「裕福」「仕事熱心」のイメージで語られる。小さい頃から教養が行き届いた国民性も敬意を集めており、日本人を嫌う国民は少ない。日本代表よりも、国民性の方が印象が強いようだ。