重要なのは、経済価値の算出ではなく、企業が同レポートを使いながら、特許を通じて自社の強みや事業戦略を千葉銀行へ説明することにある。
企業情報を金融機関と共有した上で金融機関に説明し、企業に対する理解を促進させて融資に結びつける手法は「知的資産経営報告書」を使った「知的資産経営評価融資」と同じだ。また、金融機関は従来ネックとなっていた特許の調査コスト負担を軽減できる。
特許は自社製品に活用する以外にも、競合企業による事業化の抑止、自社の権利を侵害している企業への賠償請求、直接競合しない他社へのライセンスによる収益化、ひいては事業や特許自体の売却-などさまざまな活用方法と収益化の機会がある。
知財活用支援に詳しい都内の知財コンサルタントは「それらを金融機関として理解し、今後の金融サービスをどう組み立てていくか、千葉銀行の動きに注目したい」と見守っている。(知財情報&戦略システム 中岡浩)