チームは昨年2月、厚生労働省に臨床研究の実施を申請し、同7月に承認。同省審査委員会は今月8日、細胞の安全性に問題はないとして移植を了承した。
iPS細胞は体のさまざまな細胞に分化できる万能細胞の一種。京都大の山中伸弥教授が平成19年にヒトで作製に成功し、24年にノーベル医学・生理学賞を受賞した。
別の万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)が受精卵を壊して作るため倫理問題を抱えるのに対し、患者自身の皮膚細胞から作製でき、病気やけがで損傷した組織を復元する再生医療への応用が期待されていた。
加齢黄斑変性は、網膜の中心にある黄斑という部分が老化により機能低下を起こし、視力が低下する病気で、患者数は近年増えている。iPS細胞を使った移植治療でも視力はやや改善する程度だが、チームは根治療法につながる可能性があるとみて研究を続ける。