従業員が職務で発明した特許権を企業に帰属させる特許制度の改正は、国際競争にさらされる日本企業の開発力強化につながると期待される。新制度のもとで企業は、発明の報奨を決める社内規定の明文化が求められる。十分な報奨につながる社内規定は優れた人材の囲い込みにつながり、社内の技術開発も後押しすることになる。企業の知的財産戦略も厳しく問われている。
「日進月歩で技術が進歩する今の時代にふさわしい特許制度になるのではないか」
17日開かれた産業構造審議会特許制度小委員会で、ある委員はそう述べ、特許権の帰属先を企業とする制度改正に対する期待感をにじませた。
企業をめぐる技術開発の動向は複雑化している。ひとつの特許権に複数の社員がかかわっていたり、ひとつの製品に多数の特許権が使われることが珍しくなくなった。