コンピューターによる生産・工程管理といった最新技術を導入しつつ、ウイスキーの味や品質にかかわる部分にはとことんこだわる。そういう「竹鶴スピリット」が生きている。
正面にある旧事務所棟を抜けると左側に、移築された旧竹鶴邸がある。その先はやはり有形文化財に指定されている第1号貯蔵庫だ。
貯蔵庫の入り口やポットスチルには、日本酒の酒蔵のように注連縄(しめなわ)が張られている。酒の神様や自然に感謝しつつ、敬虔(けいけん)な気持ちで酒づくりに臨む。これもまたこだわりだ。
さらに奥に位置するウイスキー博物館では、ウイスキーの歴史や製造工程、政孝氏とリタさんの軌跡を知ることができる。ガイド付きの見学ツアーもあり、ウイスキーの試飲も可能だ。ざっと見学するだけで40分ほど。じっくり見るには1時間半ぐらいは必要だろう。
マッサンが何を考え、どう行動したか―。今回の記事で描きたかったことだ。蒸溜所のほぼ中心部に建てられている政孝氏の胸像を仰ぎ見ながら、しばし、「マッサンの夢」の世界に酔った。試飲したウイスキーに酔ったのではないことを付言しておきたい。(編集委員 関田伸雄)